「・・・で、どーなんだよ。嫁に来てくれるよなぁ?」

お腹を抜けてもっと奥まで巡っていきそうな熱さに全身の感覚を奪われて、どのくらいそうしていたのかもわからない。
どくどく脈打つ感覚がようやく止んだら腰からへなへな力が抜けて、弓なりにしなって痙攣してた背中が腕の中にぐったり沈む。 銀ちゃんは気怠そうな溜め息を吐くと、後ろからぎゅうって抱きしめてくれた。
念を押すみたいに尋ねてくる声を火照った耳たぶに吹きかけられて、こんな近さだし、もちろん聞こえてるんだけど――はぁっ、はぁっ、って乱れた呼吸を繰り返しながら目を閉じる。
ちょ、無視かよ、無視ですかおーい、って笑い混じりにささやかれたけど、何も答えられなかった。だって何か答えようにも、イっちゃったばかりで酸素不足な頭はちっとも動いてくれない。 頭の中は真っ白で、お腹の奥に留まってるものの重みや、労わるような仕草で肌を撫で回してる大きな手の動きをぼんやりと感覚で捉えてるだけ。 肩から腕へ這い降りてから膨らみをゆっくり撫で回した手が、すうっと下へ滑り降りていく。 呼吸に合わせて動いてるあたしのお腹を円を描くみたいな手つきで撫でてから、銀ちゃんは不思議そうな声を漏らした。

「っとによー、謎だらけだよなぁ女の身体って。俺が出したやつぜんぶ入ってんだろ、ここ。よく入るよな」
「〜〜っ、ばかぁ。は・・・はずかしいこと、聞かないで」
、腹ん中苦しくね。大丈夫」
「・・・ぅ。うん・・・?」
「ふーん、あんだけ出されても苦しくなんねーんだ」

艶めかしく掠れた低い声が、心底感心してるみたいにぽつりとつぶやく。
あたしのお腹の下のほう――飛び散った粘液に濡らされた、やわらかくて真っ白いところ。 そこの見えない内側に何があるのかを外から確かめようとしてるみたいに、中指の先でふにふに押した。 銀ちゃん、何か考え込んでるみたい。あたしのお腹に視線を落としたままで黙りこくってる横顔を、胸をとくとく高鳴らせながらぼうっと見上げる。
今なら――今なら言えるかも。
銀ちゃんにずっと尋ねたかったこと、今なら尋ねられるかもしれない。言おうかどうか少しだけ迷ってから、あたしは小さく息を飲んだ。 お腹を撫でてる銀ちゃんの手を上からきゅって握りしめて、

「・・・銀ちゃん。いいの」
「んー?」
「・・・あ。あかちゃん。・・・できちゃっても、いぃの・・・?」
「いーよ、前からいいって言ってんじゃん。つーかよー、お前はどーなの。もしそーなったら俺、何があってものこと離さねーけど」

消えそうに小さくて掠れてて、熱を帯びた色っぽい声。
二人きりの時だけ聴かせてくれる特別な声を耳の奥へ注がれて、腰やお腹に回された手に大切そうな手つきで撫で回されたら、身体中が甘い震えでわなないてしまう。
「なぁ、産んでくれんの銀さんのガキ。それでもいーの、
そうささやく響きは苦しそうで、けれど、たまらなく甘い声で。
蕩けきってるお腹の奥をくちゅくちゅと弱めに捏ねられたら、とても声をこらえきれないような深い痺れがじわじわ溜まっていく。
・・・ああ、やっぱりおかしいよ。今日のあたしは絶対どうにかしてる。
いつもなら「そんなの無理」って断るのに。 「赤ちゃん産むなんてまだ考えられないよ」って、問答無用で断ってるのに――なのに。 どうして、いつもみたいに断れないんだろう。 どうしてこんなにどきどきして、弾む胸の奥がせつなさで疼いて、なのに、泣きたくなるくらいしあわせで ――とてもじっとしていられないくらいに、身体中が火照っちゃうんだろう――

「なーなー、どーなの。俺でいーの。それともやだった?こんな奴に孕まされるなんて冗談じゃねーとか思ってる」
「・・・・・・銀ちゃんの、ばかぁ。・・・んなの、ぉもう、わけ、な・・・っ」
「へ」
「ど、して、わかって、くれな・・のぉ。ぉ、おんなのこが、こんな、めちゃくちゃに、されても、ゆるして、あげて、の、に・・・っ」

声を出そうとしただけで震えてしまう唇を噛んで、ぷい、って顔を横へ背ける。
ああもう、やっちゃった。こんなところで逆ギレしちゃった。ほんとはすごく、嬉しかったのに――こんな可愛げのない、責めるような言い方しなくたっていいのに。
なのに、どうしてこんなふうに意地張っちゃうんだろう。銀ちゃんが帰った後で、また自己嫌悪に陥っちゃいそうだ。
・・・・・・やっぱり可愛くないよね。とことん素直じゃないなぁ、あたしって。
ちゃらんぽらんな銀ちゃんにしては真剣な声。あたしの気持ちをひとつずつ、根気よく確かめていこうとしてるような話し方。 これってきっと、本気のプロポーズだよ。
・・・まぁ、一晩中、休みなしで続いてるえっちの最中に言い出すあたりがどうにも銀ちゃんぽいっていうか、身も蓋もなくて締まらないかんじはするけど――

「じゃあ、俺だけ?」
「え?」
「他の奴ならどーなんだよ。めちゃくちゃやっても許してくれんのって、俺だけなの」
「〜〜ぁ、あたりまえ、でしょっ。ほかのひとに、なんて」
「じゃあこーゆーこと、させたりしねぇ?」
「んっっ、あぁ・・・っ」

ぎゅう、って背筋がしなるほどきつく、逞しい腕に抱きしめられる。
お腹の奥を満たしてるものの先端が自然と奥まで沈み込んで、ぐりゅ…、ってゆっくり熱を捩じ込まれる感覚だけで身体中が痺れ上がって、

「〜〜ぁっ、あ、ゃっ、っふ、ふかぃの、めぇ、あぁあっっ」
「あのよー、俺、お前が思ってるよりうんと独占欲強ぇーから。だからしつこく訊いとかねーと、気が済まねーんだわ」
「んぅ、ふ、んんっ、んっっ」
「・・・なぁ、。俺だけ?俺だけだよなぁ、お前の身体中、この奥までぜんぶ、好きにしていーの」
「〜〜・・・っう、んっ、ぎんひゃぁ・・・っ、ん、ん〜〜・・・っ!」

隙間なく塞がれた唇の端から、か細くて甘ったるい悲鳴が漏れる。
腫れぼったくなった目の端で涙の粒が膨れ上がって、ぶわりと溢れたそのしずくのせいで視界はたちまちに溶けていった。
すっかりのぼせ上って火照りきってる耳の傍で「あーあー」って咎めるような声が響いて、押し殺し気味に笑ってる熱い唇を押しつけられる。 伸ばした舌先で吸いついてきたその唇に「あーかわいい、たまんねぇ」なんて吐息混じりにささやかれたせいで、甘い言葉を悦んだ身体はもう一度快感に呑まれてしまった。 もっと、もっと、っておねだりするみたいに銀ちゃんをきつく締めつけて、奥から溢れた透明な蜜をとろとろこぼして、ゆっくり、浅めに突かれる感覚に啜り泣きながら腰を揺らす。
――ずるい、ずるいよ。今そんなことを言われちゃったら、蕩けきってるあたしの身体は銀ちゃんの声の響きだけで感じちゃうのに。
ようやく温まってきたはずの背中に、ぞくぞく、ぞくって震えが走る。
いつもと同じように我が物顔で入り込んできた舌が、くちゅ、くちゅ、くちゅ。わざと大きめな水音を鳴らしながら、深く絡みついてくる。 唇を大きく開かされて、強引に動き回る熱い舌に弱いところを舐め回される。 くらくら眩暈がしてくるような激しいキスで貪られて、どちらのものかもわからない透明なしずくが口端からこぼれる。 顎下や胸の谷間までとろりとろりと伝ったそれは、胸を揉んでる銀ちゃんの手で肌にぬるぬる擦りつけられながらお腹までつうっと流れ落ちていった。 硬い指の腹の感触がつうっとその跡を辿っていったら、抱かれた腰がびくんと跳ねる。 どろどろに濡れたやわらかいところの周囲を指で撫で回されたら、それだけで腰の震えが我慢できなくなるくらい気持ちいい。 深い口づけで奪われて息もつけない唇から、んん、んふっ、って鼻にかかったいやらしい声が何度も溢れて、じきにその声が甘えた泣き声に変わっていって――

「ん・・・・・・ぎ・・・ひゃ、ぅ、ぁう、ふぇ、っく、・・・っ、ふ、ぁあ、んぅ、んん・・・っ」

風邪のせいで感覚がおかしくなってる口の中が、ぬるぬるしたやわらかいもので一杯にされてる。
奥まで満たしてくちゅくちゅ蠢く舌の感触と生々しい音で、頭の中まで一杯になっちゃう。 同じように銀ちゃんで一杯にされたお腹の奥も、じゅぷ、じゅぷ、って音を鳴らしながら腰を回してゆるゆる擦られる。 、って何度も呼ばれて、息が弾んでせつなそうなその声の響きで耳の奥まで一杯にされて――
あぁ――あたしの身体、今、ぜんぶ銀ちゃんのものになってる。誰よりも好きな人が、夢中であたしを欲しがってくれてる。 他の誰にも侵入されたことがないやわらかい内側まで入り込まれて、うんと深いところまで好きな人で満たされてる。
そう気付いたら大きなもので埋められたお腹の奥がせつなくなって、背筋や首筋を甘い震えが走り抜けて――大きな手の中に収められた胸がきゅんとして、とくん、とくん、って早い鼓動で心臓が弾みっ放しになった。 あったかい。それにすっごく気持ちいい。
こうして銀ちゃんに包まれてると、そのうちに寒気も引いちゃいそうだ。泣いたせいで腫れぼったくなってる瞼も、そのうちにとろんと緩んで閉じちゃいそう。

「ふ、あぁ・・・ぎ、ちゃあ」
「んー?」
「っと・・・・・・もっと、ぎゅって、してぇ。銀ちゃん、あったかい・・・きもちぃ、のぉ・・・」
「うわ、なにその殺し文句」

後ろから覗き込んできた顔にはどこも汗が滲んでて、光を浴びて白銀に変わる前髪も汗でしっとり濡れていた。 気怠そうに細められた目許には、困ってるみたいな苦笑いが浮かんでる。
あたしの目尻に溜まった涙を、やわらかく触れてきた唇が吸い取っていく。 乱れて目許に貼りついた髪を唇で器用に避けながら、ちゅ、ちゅ、ちゅ、って労わるような甘いキスを落としていった。
涙で濡れたこめかみを啄むと、次はほっぺたに、その次は耳たぶに。
その次は顎下で、片手で顎を持ち上げられたせいでうんと逸らされた首筋や、首の付け根にも唇が吸いつく。 ちろちろと蠢く熱い舌先が、火照りきってるあたしの身体を焦らすみたいな遅い動きで這い回る。 指で髪を梳くようにして露わにされたうなじのところに、ちり、って肌を焼かれるようなちいさな痛みを刻まれたら、ぁん、って自然に声が跳ねて、銀ちゃんを呑み込まされた身体の芯が熱い何かを迸らせながらきゅううってうねる。
ちゅ、ちゅ、って背筋に沿って下りながら音を上げていた唇が、ふ、って吐息みたいな声で笑って、

「お前ちゅーだけでイきそーになってね。ほらわかる、ここ。お前のナカ。奥からじゅわーって溢れてきてんだろ、洪水みてー」
「ゃあ・・・あっ、らってぇ、んん、きもちぃ、のぉ・・・あっ、あっ、ぁああっ」
「ほらまた吹いたー。っとによー、どーしちまったの今日は。素直すぎてたまんねーわ、こっちが熱出そーだわ」
「って・・・んとに、きもちぃ・・・だも・・・――っ!ぁ、ああ、ぁ、あ〜〜っ!」

ぐぶっ、って濁った音が鳴って、最奥まで激しく押し込まれる。
ひくひく震えて銀ちゃんを締めつけたあたしの中は、強すぎる快感に呑まれて痺れ上がった。 もう指の一本も入らなさそうなくらいにみっちり埋められた入口から、熱い感触がとろとろ滴る。 汗にまみれた熱い身体にぎゅって羽交い絞めにされて、軽く浮き上がってる腰を、ゆっくり左右に回される。 何度かそうしてあたしの中がじぃんと疼いてしまうところを探り当てると、銀ちゃんは気持ちよさそうな声を漏らしながら、そこばかり狙って腰を揺らした。
獣みたいに荒くて苦しそうな呼吸の合間に、はぁ・・・、って満足そうな吐息が響く。 熱い息遣いに敏感なうなじを撫でられたら背中のぞくぞくが止まらなくなって、硬い両腕に閉じ込められて身じろぎも出来ない身体の奥で、ずるずる擦られて高まったところが蜜をこぼしながら収縮して――

「やっぱすげぇわ、お前。つーかよすぎてやべぇって、頭おかしくなりそ・・・」
「ふぁあ、ぎっ、おねがぁ・・・ひぅ、ぉくっ、らめ、らめぇえ・・・っ」
「なぁ、そんなにいいの。どんなかんじ。言ってみな」
「んっ。ってぇ、すごぃ・・・のぉ、銀ちゃんの・・・、おっきくて、すご・・・の、なか、いっぱぃ、なのぉ。 ぁあ、ゃあ、あつぃ、あついの、じんじん、しちゃぁ・・・っ」

もうだめ、しんじゃう。
ひっく、ひっく、ってくぐもった嗚咽の合間にそう漏らしたら、銀ちゃんがなぜか動きを止める。 するとお互いの身体がぶつかるたびに漏れた生々しい水音や、ベッドのスプリングが軋む音が止んで――


「〜〜っ!?ぁっ、あっ、ああ・・・!」

そこからはもう何が起こってどうなってるのか、あたしにはちっともわからなかった。
何が起こってるのかを考えるどころか、びっくりする間もないくらいだ。 なぜか急にぐぐ、って歯を食い縛った銀ちゃんがまるで水を被った大型犬の身震いみたいに全身を派手に震え上がらせた、ほんの一瞬後だ。 あたしは声にならない声を上げながら、びくびく震えてイってしまった。 お腹の奥まで入り込んでた熱の塊が、めきめき音を立てそうな勢いで膨らんでいったせいだ。

「〜〜ぎっ、っっ、っひぁ、っゃ、ゃらぁ、・・・〜〜〜っ!」

凶暴なくらい反り上がった熱に苦しいくらいに感じさせられて、狭い中をみっちり埋められたらそれだけで息もつけなくなる。
なのに乱暴に腰を揺らされて、ずぶずぶと激しく貫かれて。
そのたびに寝室を突き抜けそうな悲鳴が喉を貫いて、すっかり感じやすくなってるあたしの身体は快感に逆らえずにびくびく跳ねた。 それでも何とか逃げようとしたら、死んでも逃すもんか、ってかんじの素早い動きでぎゅううぅって思いきり抱きしめられる。 うぐぐぐぐ、ってなぜか歯痒そうに唸ってた銀ちゃんに、横からじとーっと恨めしそうに睨まれた。
ぽたぽた、ぽた。
顎先に伝った汗のしずくが、あたしの肩を濡らしていく。はぁっ、はぁっっ、って荒れた呼吸を繰り返す顔を呆然と見上げた。
・・・・・銀ちゃん、いつのまにか目の色が違っちゃってる。それに、いつのまにか汗だくだ。
赤く染まって艶めかしい目元にも、悔しそうに歪めた口許にも、火照った色の首筋にも、透明な汗の粒が光ってる――

「〜〜っ。あぁぁ〜〜もぉぉったくよぉ、これだから男知らねーお子ちゃまは怖ぇーんだわ・・・! どーすんのこれぇ、がえろいこと言うから一瞬でガッチガチじゃねーかよぉ、っっ」
「っあぁん!」

お腹の裏の弱いところを硬い先でぐりぐりされて、思わず背中が反り上がる。 捻じ込むみたいに突き上げられれば、蕩けきった悲鳴が喉を突き抜けてまっくらな部屋中に響き渡った。
狂ったみたいな激しい動きで中をめちゃくちゃに擦り上げられて、もうここがどこなのかも、何がどうなってるのかもわからなくなっちゃいそうだ。 あん、あん、あんっ、って、男の人にいやらしく強請ってるような甘ったるい嬌声が、何度も何度も繰り返し上がる。 自分の声のはずなのに、自分のものとは思えないような声。そんな声が恥ずかしいのに、こらえたいのに、ぐちゅぐちゅ擦られる快感で頭まで痺れてどうにもならない。 奥深くまで捻じ込まれるたびに腰を左右に捩ってしまう、いやらしい動きもこらえられない。
だって、気持ちいい。
こんなにめちゃくちゃにされてるのに、涙がこぼれちゃうくらい苦しいのに、身体中くたくたなのに――どうしてもっとしてほしくなっちゃうんだろう。 そんな自分が恥ずかしくても、啜り泣きながら腰を捩る。自分からいやらしく腰を揺らして、おかしくなりそうなくらい感じてしまって――
じきに銀ちゃんがぐっと腰をせり上げて、抱え込んでたあたしの身体を横向きにベッドへ転がして。 驚く間もなくほっぺたがやわらかい感触に包まれて、ぎしぎし軋むスプリングが身体を上下に弾ませた。 隙間なくくっつけた太腿が逞しい腕に抱え込まれると、すかさず上から圧し掛かってきた銀ちゃんにぐっと体重を掛けられる。 重たい身体が圧し掛かってきたら、膨張しきった杭の先が自然と奥まで入り込んでくる。 あっっ、って喉を震わせて叫んだときにはもう、頭の中が真っ白だ。
なのに、たっぷり弄られて敏感になってるそこを銀ちゃんはさらにぐちゅりと押し込んできた。

「ぁ、ぁ、あぁっ、やぁ、らめぇ、っひ、あああっ」
「無理、お前めちゃくちゃ締めつけてるし・・・っっ、こんなん、やめられるわけ、ね・・・――っ」
「ゃん、やらぁ、待っ、っっあ、あっ、〜〜ぁああ・・・っっ!」

じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっっ。
水音が部屋中に響き渡るようなゆっくりした動きで抱えた腰を回されて、深く大きく掻き混ぜられたら声も出ない。 余裕のない手が胸を掴んで、膨らみをぎゅうって絞るように揉みながら先端を弾く。 〜〜っっ、って声にならない悲鳴を上げたら、それと同時に腰を掴まれて無理やりうつ伏せに変えられて、

「っっ、だめ、もぅだめぇ、ぎ、ちゃあ、あぁん」
「俺もだめー、てか、ここで放すとか無理だろ・・・っっ。も、今日は、朝まで放さねーから・・・っ」
「〜〜あっ、ゃんっ、あ、ぁあん、っっ、らめぇ、めなのぉ、また、ぃっひゃ・・・ぅう・・!」

行為の激しさと二人の汗でじっとり濡れた白い着物に、感じやすくなってる胸の先を何度も擦られる。 かすかな刺激を悦んでつんと立ち上がったそこから、頭の天辺まで甘く痺れるような気持ちよさが繰り返し何度も昇ってくる。
銀ちゃんがあたしの腰を持ち上げて抽挿を深めて、どっ、どっ、って全身が衝撃で痺れちゃうくらい強くぶつけてくる。 蕩けきった粘膜の一番敏感なところにぶつけられると、そのたびに生まれる鈍い気持ちよさが狭い中で膨らんでいった。 まるでその狭い中で生まれた音が壁にぶつかって反響してるみたいに、寄せては返して広がっていく。 潤んだそこを押し込まれた快感がまだ弱い反響を繰り返してるうちに、ずんっっっ、て狭まった内壁を抉るような強さで突き上げられて、

「〜〜〜〜っっぁあぁんっっ」
ー。俺がこれやるといっつもやだやだ言うけどー、ほんとは好きだろ、こーやって後ろから攻められんの」
「ああぁ・・・・・・きぃ・・・っ、もち、ぃ、のぉ、ぁん、すきぃ、ぎんちゃ、すきっ・・・」
「ん、俺も好き。、可愛い、すっげぇ可愛い・・・」

息が上がって余裕を失くした熱っぽい声に耳の奥まで埋められて、身体がふわりと浮き上がりそうな嬉しさで胸がきゅうって締めつけられる。
最初は抑え気味だった銀ちゃんの動きが、どんどん速くなっていく。
大きく張り詰めた熱い杭で容赦なく嬲られる谷間から、ずぶっっ、ずぶっっ、ぐちゅんっ、耳に絡みつくような淫らで籠った音が溢れる。 生ぬるいものがとろとろ溢れて、荒々しく叩きつけられて、すごく苦しいのにたまらなく気持ちよくて、息もつけないめちゃくちゃな律動に全身が溺れさせられていく。 ひぁっ、って叫んで涙を散らして伸び上がろうとすれば、獣みたいな呼吸を繰り返してた銀ちゃんが歯痒そうに唸る。 もうこれ以上は進めるはずがなさそうなのに、ぐぐ、ぐぐって強引に腰を押しつけてくる。 抱きしめられたあたしの身体の一番深くてやわらかいところを、もっと深く開こうとするみたいに熱い先端でぐぶりと広げる。
その感覚が頭の芯まで這い上がってきた時にはもう、重くて分厚い男の人の胸ががずしりと圧し掛かってきて。 銀ちゃんにぴったりと密着された背中が、強烈な痺れでわなないていて――

「〜〜〜っぁあああ!」

蕩けきった狭いところにぐりぐりと押し込まれた質量と快感は、ほんの一瞬で全身を侵す大きさまでぶわりと膨らむ。
反射的に銀ちゃんを締めつけたあたしの身体が仰け反って、足の先までぶるぶるって、まるで糸で操られてる人形みたいに震え上がる。 襲ってきたのは、強烈すぎて息もつけないくらいの深すぎる快感。ずしりと体重を預けてきた身体と熱い体温に、痙攣する全身が呑み込まれていく。 ああ、もうおかしくなっちゃう。
いっちゃう、もう、いっちゃう。
泣きすぎて嗄れた声で繰り返しながら銀ちゃんの手に縋ったら、その手を上から閉じ込めようとするみたいに分厚い手のひらに握りしめられた。 ぐ、って指が折れそうなくらい強く力を籠められたのと同時で、お腹を奥から燻らせていた痺れと快感が全身を渦巻きながら駆け抜けていって――


「あ、あ、あぁ、ぁんっ、ひぁ、〜〜っっぃっ、ちゃ、あっ、もぅ、らめぇぇっ」
「んっっ、イって、俺も・・・も、出る・・・――っっ」
「あ、あ、ああぁっっ・・・〜〜〜ぁああああぁ・・・っ!」


甲高くってうわずった悲鳴が喉を勝手に突き抜ける。乱暴に貫かれたお腹の底で、熱い何かが飛沫を散らす。
全身を痺れさせるほど強烈なのにどこか甘い恍惚感が、きつく抱かれて身じろぎもできない身体に一瞬でぱぁっと広がった。 その恍惚感がどこか行ってしまって腰や脚ががくがく震え出しても、銀ちゃんは荒い息を吐きながら何度もあたしに押しつけては出した。
ぐちゅっ、ぐちゅっ。
何度も何度も押し込まれてびくびく疼いてる身体の奥から、ぬるい感触がこぼれてくる。
いつもは透明なその粘液は、いつもよりうんと白くて濁ってるはず。だってこれは、あたしの身体から溢れたものだけじゃない。 銀ちゃんが止める間もなく放ったものと、融け合って、交じり合って、
――まだみっちりと張りつめたものでゆるゆる擦られてる狭い中から、収まりきれずに溢れ出してくる――


「・・・・・・なぁ、ー。見える、これ」

ぐったりとうつ伏せてシーツに顔を擦りつけてたあたしの身体が、窓の方を向く格好で転がされる。 まだ息が荒い銀ちゃんが、あたしの内腿に伝う流れを遊ぶような手つきで撫で回す。
白っぽい前髪の先まで汗でじっとり濡れてる顔が、真上から何か言いたげに迫ってくる。 息苦しくてまだ声も出せないあたしの身体をしきりに撫でながら、銀ちゃんはなんだかうっとりした目つきで上から下まで眺め回してた。 かと思えば唇を吊り上げて、瞳を細めて意地悪く笑って、

「俺の脚もぐっしょり濡れてんだけど。つか、脚どころか布団までぐっしょりなんだけど。なぁ、何これ。どっからこんなに漏れてきたの」
「って、ぎんちゃ、が・・・っ。・・・んかいも、ぜ、んぶ・・・っ」
「そーそー、全部出したよなぁお前のここに」
「あ、ぁ〜〜・・・っ!」

ぐぷっ。ぐぷ、ぐぷっっ。
左の膝を裏から掴まれて、ぐい、って高く持ち上げられる。 開いた脚の間に割り込んできた銀ちゃんに、からかうように深めに突かれた。
濁った音と熱い潤みが、繋がれたところから途切れることなく溢れ出てくる。 最後にどろりと溢れ出るくらい激しく奥を一突きされたら、息苦しいくらいの気持ちよさで呼吸が止まる。 涙がぶわりと両目から溢れて、背筋が震えて弓反りになって――お布団の上で上半身を跳ね上がらせたあたしの身体は、銀ちゃんの動きから逃がれようと腰を浮かせてがくがく震えた。

「っっあ、あっっ、だめぇっ」
「あーあー、また漏れてきたし。ダメじゃん。銀さん全部お前のナカに出してやったのによー」
「〜〜ふぁあ、っら、らってぇ、ぁっ、あぁん」
「お漏らししちまったから、もっかいな」
「あっあっあぁっ、〜〜ぁあああっっ」

溢れ出そうになってる流れを逆に押し戻すような動きで、じゅぶっ、じゅぶっと突き入れられる。
何度かそうしてあたしの中がじぃんと疼いてしまうところを探り当てると、銀ちゃんは背後に寝そべって、捻じ込むみたいにして腰を繰り返し押しつけてきた。 いくら吐き出しても萎えてくれない硬い先端の圧迫感で、ずぶずぶと中を強めに擦られる。 感じちゃうところを先端でずるりと引きずられるたびに、高く持ち上げられたままの左足の先が宙で頼りなくふらふら揺れる。

「っら、らめぇ、ぎんひゃ、あぁん」
「んー?なに。何がダメなんだよ」
「ぁあ、って、らめなの、らめぇ、っ、ぁあ、っっ・・・・・・っ」

もうだめ。もう死んじゃう。これ以上されたら気が狂いそう。気持ちよすぎておかしくなっちゃう。
たったそれだけを伝えたいのに、唇も喉も思い通りに動いてくれない。 はぁっ、はぁっ、って乱れる呼吸と、激しく責められる息苦しさで破裂しそうな胸の高鳴りに邪魔されて、たったそれだけの言葉が口に出来ない。
すると銀ちゃんは動きを止めた。顎から汗をぽたぽた滴らせてる顔が迫ってきて、こっちをじいっと見つめながら不満そうに口を尖らせる。 「んだよ、またそれ?」って、あたしのほっぺたをふにゅうって抓って、

「お前さぁ、俺のガキ産むのそんなにやなの」
「・・・っ」

なぁ、俺じゃだめ。
はぁはぁと荒い吐息の合間に拗ねたような声で問い詰められて、唇が震える。きつく瞑った目の奥からは、じわりと熱いものが滲んできた。
――急に泣きたくなったのは、誤解されて悲しかったから。 いやだなんて、違うのに。あたしそんなこと言ってない。銀ちゃんじゃ嫌だなんて、そんなこと――

「ち、ちがっ・・・〜〜ゃ、やじゃ・・・ないぃ。ぁ。あたし・・・ぎんちゃんが、い、のぉ、ぎんちゃ、じゃな・・・と」
「――・・・っ。、かわいい、、っっ」
「あっ!あ、あ、ぁあっ、ああああっ」

ぱんっ、ぱんっ、って後ろから濡れた音が鳴り響く。
両手でがっちり抑えつけられた腰は、がつがつと深い律動で責め立てられた。 銀ちゃんは何度も何度も、呼ばれるだけで頭の芯まで蕩けそうになる甘い声であたしを呼んだ。 たまにせつなそうな呻き声を漏らしながら、奥のほうのきもちいいところばかり狙って打ちつけてくる。 打ちつけられると熱い飛沫が飛び散って、お布団がぬるついた感触で湿っていく。
獣みたいに荒くて苦しそうな呼吸の合間に、はぁ・・・、って満足そうな吐息が響く。
熱い息遣いに敏感なうなじを撫でられたら、背中のぞくぞくが止まらなくなる。 ずぶずぶと容赦なく擦られてる中も、肌に当たる吐息の感覚を感じるだけでひくひく震える。 次の瞬間に「あいしてる」って耳をくすぐるやわらかい声音でささやかれたらたまらなくなって、唐突に襲ってきた強すぎる快感に一瞬で呑まれて痺れ上がった。

「っっぁっ、ぁ、らめぇ、ぃっ、いっひゃぅぅ、っぁ、あ、ああぁ・・・・・・〜〜っ!」

硬い腕に閉じ込められて身じろぎも出来ない身体の奥で、快感が一気に弾け散る。
いっぱい苛められてすっかり敏感になった粘膜の襞が、銀ちゃんを絞り上げるみたいにうねりを上げて収縮していって――



「猛毒いちごシロップ #9」
title: alkalism http://girl.fem.jp/ism/
text *riliri Caramelization  2016/06/18/      next →