「――っ・・・、あぁ、逃げんなって、いいんだろ、ここ」
「あ、あ、ぁっ、ゃあ、も、だめぇ・・・!ぁっ、ぁあ・・・!」

ようやくベッドまで運んでもらえたのは、押し倒された床の上でくたくたになるまで抱かれた後だった。
暗い寝室を横切った銀ちゃんが腰を下ろしたのはマットの端で、そこでもあたしは後ろから抱えられた恰好で好き放題に突き上げられた。 大きな手で鷲掴みにされた胸の中では心臓が壊れそうなくらい暴れてて、呼吸するだけで精一杯。 風邪のせいで弱ってる身体はすごく酸素を欲しがって全身ではぁはぁ喘いでるのに、ほんの少し休むどころか、弾む呼吸を整える暇すらもらえない。 涙で揺れる視界の真下に、大きな手のひらが伸びていく。 中から漏れ出た粘液で目も当てられないほど濡れそぼったそこを、赤黒く充血して膨れ上がった大きなものが出入りしてる。 くちゅくちゅ、くちゅり。ひっきりなしに擦られて震える入口を広げるようになぞられたら、蕩けた粘膜が水音をこぼす。頭の芯まで痺れが走る。

「ぁっっ、あ、あぁ・・・めぇ、さわっちゃ、あぁ」
「んー?じゃあここは。好きだろ、ここ弄られんの」
「〜〜っひ、ぁあ・・・っ!」

抑えつけてくる二の腕に濡れたほっぺたを押しつけて泣いてたら、腰がいきなり跳ね上がる。
何が起こったのかもわからないまま悲鳴を上げて仰け反れば、水面みたいにぼやけてた目の前の景色が白い火花で塗りつぶされた。 一瞬遅れて、熱に満たされたお腹の奥に鋭い刺激を感じ取る。銀ちゃんの指だ。きゅうっ、って強く押し潰されてる。 ――粘膜の壁で包み隠されたやわらかい芽が、器用な指先に剥き出しにされてる。
身体のどこより敏感な小さな芯を捕えた指は、まるで遊ぶようにそこを弄る。 腕の中で泣いてもがきながらあたしがイってしまっても、銀ちゃんの腰は揺らぎ続ける。 お腹をみっちり埋め尽くす塊は、ちっとも萎えてくれる気配がない。最初にあたしに出したときと同じ勢いで蕩けた粘膜を苛んでくる。
――あれからずっと――そう、ずっとだ。
あたしの身体は銀ちゃんに深く繋がれたまま。達してもすぐに硬さを戻してどくどく脈打つ熱いものは、あれからずっとお腹の中に居座ってる。 一度も引き抜いてもらえない。 休む間もなく抱かれた身体は熱が上がってぐったりしてて、それは判ってるはずなのにまだ銀ちゃんは放してくれない。 じゅぶっ、じゅぶっと濁った水音を上げて擦られる中は、もう何度吐き出されたかもわからない精液でいっぱいにされてる。 なのに銀ちゃんは、そこをさらにぐちゃぐちゃに掻き混ぜてくる。 あたしの中を満たしたものをもっと奥まで流し込みたがってるような深い抜き挿しを、何度頼んでも止めてくれない――


「あっ、あっ、ああぁっ、っ、らめぇ、ぉねが・・・っ、も、ぎんちゃ、っ」
「むりぃ、やめらんねぇって・・・ヤってもヤっても、お前、ぜんっぜん緩まねぇし・・・」

横から頬を押しつけてきて歯を食い縛ってる銀ちゃんが、途切れ途切れで苦しそうな声を絞り出す。
頬も、腰も、筋肉がくっきり浮き上がってる逞しい腕も――肌がくっついたところがどこも熱い。 ぎしぎしベッドを軋ませながら動き続ける大きな身体は、火照りきって汗まみれ。 辛そうに眉を寄せた目許も、じっとり湿った癖だらけの髪も、濡れてぼうっと輝いてる。
「・・・なぁ、見える、あれ」
胸から首筋、顎下を撫でて這い上がってきた手の指先に、くい、って顎を上向かされる。
そこで目が合ったのは、あられもない格好をした女の子。 逞しい腕に囚われて、広い胸に閉じ込められて――思い通りにならない身体を人形みたいに扱われてる姿が、目の前のガラスに映ってた。 真向いの公園の灯りがぼうっと一筋差し込むだけの暗い窓辺は、カーテンが半開きにされたまま。 その前で男の人の膝上に抱え込まれたあたしの身体は、白っぽくぼんやり浮かび上がってる。 片腕で抑え込まれたお腹には白い着物が絡みついてるけど、肌を隠してくれるものはそれだけ。硬い両腕の囲いの中で、あられもない姿を晒してた。 露わにされた両胸が不規則なリズムで弾んでる。 ぐちゅぐちゅと擦られては淫らな水音をこぼす脚の間はうっすらと光る粘液まみれで、ぐっしょり濡れた太腿はだらりと力なく開いたまま。 快楽に溺れて潤みきってる涙目が、うつろな瞳でこっちを見てる。はぁはぁ喘いでる半開きの唇からは、唾液が溢れて止まらない。

「見えてんだろ。誰だよ、あそこに映ってるやらしい子」
「〜〜〜・・・っぁあ・・・っっ、」
「答えろって、誰だよあれ。男のもん奥まで咥えてぐちゃぐちゃにされて、えろい顔して悦んでる子」
「っぅ、やぁ、も、ゃあ、あっ、ぁあ・・・」

厭らしい、って咎めてるような意地の悪い声に耳打ちされて、恥ずかしさに涙が滲んでくる。
なのに腰の奥がうずうずして火照って、背中や首筋がぞくぞくして。 唇を噛みしめて我慢したけど、寝室の闇を裂くような細い悲鳴がこらえきれない。 きつく抱かれた腕の中でびくんと大きく身体が跳ねると、狭く締まった入口は透明な蜜を漏らしはじめた。
「あーあー、また溢れてきたし」
呆れたような声を上げた銀ちゃんの太腿までつうっと流れたそれを、長い指が掬い上げる。 重たげに伏せた瞼をうっすらと染めた目は、とろりと濡れた自分の指先を嬉しそうに眺めてた。 その指先を唇に含むと、目尻を細めてふっと笑って、

「これ、俺が出したやつじゃねーよなぁ。どーしたの、何でこんなに敏感になってんのお前の身体」
「・・・ってぇ、ぎ、ぎんひゃ・・・がぁ」
「俺が何。何だよ。ナカ出しされまくったのそんなによかった?それともえろいって言われたせい」
「ち、ちがっ・・・」
「じゃあ何だよ。やらしいっていじめられたから?お前それだけでナカとろとろにして感じちまうの」
「〜〜ああっ、ゃあんっ。そこ、やだぁ、あっ、あぁっ」

敏感になってる小さな芽が、つぷりと潜った太い指先で撫でられる。
溢れた粘液を塗りつけられたり、触れるか触れないか程度の弱さでくすぐられたり。 銀ちゃんの指はやわらかいそこを優しく可愛がってるような仕草で動いてるのに、あたしはひどく感じてしまって、お腹がどんどん痺れてきて。
やだ、やだ、って仰け反って蠢く指先から逃げようとしたら、もう一度頬を持ち上げられて窓のほうを向かされる。 そこに映る光景に、っっ、って思わず息を飲んだ。燃えそうに熱くなってるほっぺたを、恥ずかしさのあまりに湧いた涙がぽろぽろ転がる。 暗い寝室の様子が鏡のように映し出されたそこでは、男の人の上でいやらしく腰をくねらせてる子が蕩けきった目つきで泣いていた。

「〜〜〜っ!ぁ・・・ぁあ・・・ゃあ、やだぁあ、は、はなし」
「恥ずかしがってねーで見てみろよ。映ってんだろそこに、気持ちよすぎて泣いてよがってんだろ、誰だよあれ」
「〜〜ゃあ、みな、でぇっ。っみ、みちゃ、ゃら、やぁあっ」

――いや。見ないで。恥ずかしすぎて死んじゃいたい。
腰を捩って伸び上がったけど、くびれに回された硬い腕ですぐにぐいっと引き戻されて、

「あぁ!あっっ、ゃあ、そこ、ぁあんっ、ふかぃの、だ、だめえぇ」
「なんで。すきだろ、奥突かれんの」
「っっ、きじゃ、なっ、あっ、ゃめっっ、ぁっ、あっ、ああぁっっ・・・〜〜!」

引き戻されてはまたぐちゅぐちゅと、甘い疼きが止まらない奥を捏ねられる。
張りつめた先端で押し上げられるたびにそこから昇ってくる快感は、身体中に広がっていくさざ波みたい。 お腹を満たして膨れ上がっていくその気持ちよさをどうにも出来ずに啜り泣いてたら、力の籠った指先に斜め上を向かされる。 荒い呼吸を漏らす唇が、喰らいつくみたいにして重なってくる。唇の合わせ目を強引に割った舌の先がふと動きを止めて、

「・・・やっぱあっちーな、口ん中」
「っふ、ぅ、っっ・・・・・・っ」

あたしだけじゃないよ。銀ちゃんだって、こんなに熱い――
そんなことも言い返せないまま、ぬるりと滑り込んできたやわらかい熱に意識まで溶かされそうになる。 あたしのほうが体温は高いはずなのに、銀ちゃん、どうしてこんなに熱いんだろう。 そんなことが頭の隅をよぎる間に舌を素早く絡め取られて、口内を強引に埋めた熱に水音を立てながらくちゅくちゅ揉まれる。
蕩けきったお腹の奥でも、似たような音が鳴り響いてる。
奥まで入り込んだ滾った杭に、ぐちゅぐちゅ粘膜を捏ねられる音。 お腹の中と口の中、粘液が溢れる二つの場所を同時に深く掻き乱されて、両方で鳴り響く濁った水音に頭の中まで掻き乱される。 こうして身体の中の弱いところを両方同時に責められると、だんだん感覚がおかしくなっちゃう。 口内を荒らすやわらかいものと、脚の間でずぶずぶ行き来する硬いもの、どっちがどっちに潜り込んでるのかがはっきりしなくなってくる。 二つの快感が身体中を巡って混ざり合って重なり合って、どこをどう責められてるのか区別がつかなくなってくる。
そのうちに自分がどんないやらしい表情で啼いているのかも、どんな恥ずかしい声を銀ちゃんの口内に吹き込んで乱れてるのかも忘れちゃって、ただ全身が痺れてたまらなく気持ちよくて、気持ちよすぎてふわふわして――身体も意識も感覚も、銀ちゃんにすべて奪われていく。 じわじわ力が抜けていった背筋はいつのまにか分厚い胸にしなだれかかっていて、じきに背骨まで形を失くして蜂蜜みたいにとろりと蕩けていっちゃいそうで――

「っ、そんなに吸いつくなって・・・あぁなにこれ、食い千切られそ・・・っ」
「〜〜〜あっ、ゃぁん、やらぁ、ぃっ、いっちゃ、ぅう・・・っ」
「ん、イって。イくとき泣きながら俺にしがみついてくるやつ、あれ、すげぇ可愛い。もっと見せて・・・」

余裕を失くした乱暴な律動であたしを跳ね上げる銀ちゃんに、ぎゅう、って夢中で抱きしめられる。
抱きしめられた嬉しさと、可愛い、ってせつなそうな声に囁かれたときの眩暈がしそうな甘い嬉しさ。
その両方のせいで胸がとくとく高鳴って、自然と銀ちゃんに甘えたくなって。 少しだけお尻を動かして、あたしは銀ちゃんのほうへ顔を向けた。 広い胸にぴとっとほっぺたを押しつけて、全身の体重を預けてみる。 すると奥まで呑みこんだ硬いものがぐちゅりと滑って、知らない感覚が襲ってきた。
あっ、って思わず声を上げてしまったのは、そこに触れられるだけでお腹の奥がぞわぞわするような、味わったことのない感覚だ。
けれど張り出した先でそこを何回かぐりぐりされたら、そのぞわぞわが中をもっと熱くさせるような疼きに変わる。 熱い疼きはじきに快感に変わっていって、あ、あ、あぁ、って甲高くて短い声が止まらなくなってしまった。

「あ、あ、あっ、〜〜ゃっ、ぎんちゃあ、これ、やっっ、あ、あぁん」
「へー、ここも感じるのかよ。ナカすげぇ動いてる」
「っん、ゎ、わかんなぁ・・・ぁ、あああ、あっ」
「ん。きもちよくしてやっからもっと力抜いてみな」

こめかみや髪にちゅ、ちゅ、ってキスを繰り返した銀ちゃんが、子供を宥めるときみたいな優しい声を耳の中に注いでくる。 ふぅっと耳元を撫でてくる熱い吐息にぞくぞくする。愛おしそうに髪を梳いてくれる手がきもちいい。 初めて感じる刺激のせいで背中や腰は強張ってたのに――あたしの身体って、すっかり銀ちゃんに手懐けられちゃってるみたいだ。 大きな手で身体のあちこちをやわらかく撫で回されてるうちに、勝手にふにゃふにゃと全身から力が抜けていってしまった。
粘膜の襞と襞の間まで割り込もうとするみたいに狙いすまして擦られてるそこは、すごく感じやすい部分みたい。
ぐちゅ、ぐちゅ、ってほんの数回、小刻みな動きで擦られただけで、熱と疼きを渦巻かせてるお腹の奥にすべての感覚が集中していく。 あっ、ぁあんっ、て跳ね上がる声を唇を押さえて噛みしめていたら、次は銀ちゃんの左腕に両脚をまとめて抱えられた。 もう一方の右腕で背中から腰を支えられてしまうと、ほとんどお姫さま抱っこみたいな姿勢になる。 そうやって抱きかかえられた格好のまま、身体を上下に揺さぶられた。 先端が抜け出るぎりぎりの高さまで引き抜かれて、そのまま真下へ落とされる。 ずぷんっ、と深く沈められる衝撃を蕩けた奥に幾度も叩きつけられてしまえば、頭の中まで真っ白になる。 出来ることといえば、硬い腕の中でびくびく震えながらいやらしく喘ぐことくらい。唇を塞ぐ余裕すら奪われてしまって、腕がだらりと下がっていく。 内蔵を押し上げるみたいにして奥を荒らし始めた大きなものを、じわじわと締め上げて感じてしまう。 汗に濡れた銀ちゃんの喉が、ごく、って大きな音を鳴らす。ぎゅう、って腰を抱いた腕に力を籠めて、
「・・・はは、すげぇ。きもちい…」
きつく目を閉じた息苦しそうな顔が、はぁっ、と悩ましげな溜め息を吐く。たまんねぇ…、って掠れた声がうっとりとつぶやく。 それを聞いたらお腹の奥がきゅんとして、逃れられない気持ちよさが身体の底からせり上がってくる。
甘い痺れに追い詰められる。手足の先まで縛りつけられる。
徐々に硬さを増しながら、じゅぷ、じゅぷっ、って往復してる銀ちゃんの熱が、潤みきったそこの感覚すべてを占領していく。

「〜〜〜あぁっ、いっ、ぃっちゃうぅっ、銀ちゃあっ、ゃあ、ぃく、ぃっひゃ、ぅう・・・!」

もうだめ、助けて、って全身でお願いするみたいに、ぎゅう、って銀ちゃんの首にしがみつく。
溢れた涙でぐしゃぐしゃになった情けない顔で見上げれば、真上から影を落として迫ってくる唇が愉しそうに笑った。 白い前髪に隠された瞳が、暗い中でも光ってみえる。獲物を捕えた獣みたいにぎらついた目が、あたしを見てる。 まるで、あたし以外のものなんて何ひとつ目に映ってないみたいに。
「いーぜ、イけよ。今日は何回でも、好きなだけイかせてやるから・・・っ」
はぁはぁと荒い呼吸を繰り返してる唇が、触られると弱い耳の縁を尖らせた舌先でなぞってくる。 たまらずに仰け反った首筋をかりっときつめに甘噛みされて、ぶるりと弾んだ胸の先も指でくにゅくにゅって弄られて。 目一杯に広げられたところがきゅんって縮んで、とろとろと蜜をこぼしながら震え上がって――

「あぁあああぁっっ!〜〜ぁ、あ、あっっ、あぁああんっ」
「あぁ、いい、すっげぇ締まる・・・・・・可愛い、、かわいい・・・」
「ぁん、だめぇ、っっも、ぎっっ、〜〜んふ、んんぅ、っ」

だめ、もう、だめ。
そう言おうとしたのに大きな手のひらに頬を掴まれ、ぐいと顔を横向きにされる。
涙と唾液で濡れた唇を奪われて、逃げるな、って言いたげに伸びてきた舌に絡みつかれたら、もう喘ぎ声すら上げられなくなった。 泣きじゃくりながら仰け反って何とか腰を浮かせようとしても、腰をがっちり抑え込んでる逞しい腕は許してくれない。
歯痒そうに唸る熱い舌に呼吸ごと呑み込まれて、いっそう激しく突き入れられて――お腹から頭の芯まで強すぎる快感が駆け抜けて――


「〜〜んぅっっ、っっんっ、んっ、んん・・・・・・〜〜〜っっ!」


そのままあっけなく絶頂まで押し上げられて、ぶるぶる震えてた脚の爪先がぴんと高く反り上がる。 目の前を一瞬で白く変えてしまう恍惚感に、全身を浚われて昇り詰める。
だけど――それで終わりにはしてもらえなくて。
それでも銀ちゃんはやめてくれない。 達したばかりで痙攣する中を荒い動きでずぶずぶ擦って、触れられただけで声が止まらなくなる弱いところも何度も強めに擦り上げる。 あたしを身体ごと浮き上がらせようと腰を大きく跳ね上げて、重力に従って落ちてきたところを硬い先端で鋭く貫く。 その度に重い衝撃を奥に叩きつけられて、息が止まる。涙が溢れる。 貫かれるたびにうわずった悲鳴が飛び出る口の中は、熱い舌で揉みくちゃにされてる。 止まらなくなった嬌声と口の中に溢れ返った唾液は、銀ちゃんにすべて呑み干されてしまった。
ぎっ、ぎっ、ぎっっ、ってひっきりなしにベッドが軋んで音が鳴る。
はぁっ、はぁっっ、て荒々しくて唸るような男の人の息遣いと、繋がったところから溢れ出た粘液の濃い匂いが漂ってくる。 同じようにそこからぐじゅぐじゅと溢れ出てくる水音は、潤みきった粘膜が鳴らす生々しくて淫らな音で。
――恥ずかしい。何度聞いても泣きたくなっちゃう。耳を塞いでしまいたくなる、物欲しそうでいやらしい音。
これがあたしの中から漏れてるって、銀ちゃんもそれを聞いてるって思うと、いつも消えちゃいたくなる。恥ずかしくてたまらなくて、涙がこぼれて止まらなくなって。
なのに、なのに――この音を意識すればするほど、あたしの身体はおかしくなる。 強い羞恥心で燃え滾ってるお腹の奥から、電流みたいな甘い痺れと気が遠くなっちゃいそうな気持ちよさが駆け巡っていって――

「ひぅ、んっ、んふぅうっ、っう、ぅうんっ、んっ、んっっ、・・・ん〜〜〜っっ!」
、もっとイけよ、もっと俺に見せて。今日のお前、めちゃくちゃ可愛ぃ・・・」

口の中に注がれた吐息混じりの甘い言葉が、頭の中で鳴り響く。
乱れた髪やほっぺたを愛おしそうに撫でる手に、胸の奥がきゅんとする。 好きな人に求められる嬉しさに、全身がたちまちに満たされていく。頭の先から爪先まで反り返らせたあたしは、もう何度目かもわからない絶頂に震え上がった。

「ぁ、あ、あ、あ、あぁんっ、ぎ・・・ちゃあぁ・・・〜〜〜っっ!!」
「っっ、ちくしょ・・・っ、もぉ、出ちま・・・っ」

奥ばかり狙ってがつがつとぶつけてた銀ちゃんが、急に息を詰めて全身を固まらせる。 お腹の骨が折れちゃいそうなくらいにきつくあたしを抱きしめて、イく、って低くて掠れた苦しそうな声を絞り出した。 ぶるりと背筋を震わせながら、限界まで昂った熱の塊をぎゅううぅっって奥に押しつける。
銀ちゃん、このまましちゃうつもりなんだ。あんなに何回も出したのに、まだ――
荒い息遣いを繰り返しながら迫ってくる唇を必死で振り切って、やだ、って何度もかぶりを振った。おねがい、だめぇ、って腕を掴んで啜り泣く。 それでも銀ちゃんは力を緩めてくれなくて、抵抗するあたしの動きを封じようと左胸をぎゅって鷲掴みしてくる。 膨らみを搾るみたいに長い指で握りしめられてしまえば、痛みと紙一重なせつない気持ちよさが全身に溢れて、たちまちにあたしを呑み込んでいって――


「・・・〜〜ぁああ・・・!っ、っっだ、めぇ、めなのぉ、もぉ、やあぁ、ぎんひゃ、ぁああっっ」
「――っっ、ぁあ、イく、っ、・・・っ!」
「っあっっ、あっっ、ぁあ、ぁ、あぁあぁっ、っっぁ、ああ・・・・・・!」


火照りきって息苦しい喉から、狂ったような高い悲鳴が迸る。
一番奥の深いところへ息が止まりそうな強さで捻じ込まれるのと同時で、銀ちゃんのそれはどぷりと弾けた。
どくどくと高く脈打ちながら、何度も何度も跳ね上がる。 熱い。あつい。熱くて、熱すぎて、きもちよくておかしくなりそう。 男の人のものを縛り付けて離そうとしないあたしの中で、高熱の塊が暴れてる。 じゅぶ、じゅぶ、って濁った音を鳴らしながら奥へ擦りつけてくる銀ちゃんは、っ、っっ、ってせつなそうに歯を食い縛りながら思うままに吐き出していった。



「・・・・・・っ、ぁあ、ゃぁ、やらぁ、も、ゃらぁ・・・ぁ・・あかちゃ、できひゃ、ぅぅ・・・っ」
「んー、それよかよーー、やべぇって、お前のナカ・・・また勃っちまいそ・・・」
「も、ばか、ばかぁ・・・・・・らめって、いっ・・・のにぃ・・・」
「んなこと言われてもよー、お前生でヤると反応よすぎなんだって。気持ちよすぎてぜんっぜん我慢できねーわ」
「――っん、ふぅ、んん・・・っ」

もぉ、最高。
気持ちよくてたまらなさそうな蕩けた声を漏らしながら、火照った舌が絡みついてくる。
あたしの味でも確かめるみたいな動きだ。舌も歯列も、顎の裏も喉奥も、器用な舌先が届くすべての部分を念入りに舐め回しながら蠢いてる。 最後に何度か顔の角度を変えながら、ちゅ、ちゅ、ってやわらかく唇を啄むと、苦しそうにはぁはぁ喘ぐ銀ちゃんは名残惜しそうに離れていった。 濡れた唇から透明な糸が細く引かれて、あたしはそれが途切れて消えても離れていく顔にぼうっと見蕩れた。
心臓がばくばく暴れてる。胸の奥からひゅうひゅうって、隙間風みたいなおかしな呼吸音が昇ってくる。 すごく苦しくてもっと大きく息を吸い込みたいのに、苦しすぎてうまく息が吸い込めない。 息苦しさを噛みしめながらのろのろと薄目を開けていったら、左の肩にぐったり凭れかかってる白っぽい頭が目に入る。 銀色に光る跳ねた毛先も、体温が上がって色づいた耳も、あたしよりもうんとがっしりしてる男の人らしい顎のラインも、どこも汗に濡れている。輪郭がぼんやり光ってた。

・・・ああ、さっきので何回目だろう。何回身体の中に――お腹の奥に出されちゃったんだろう。
どうなっちゃうんだろう。このまま銀ちゃんの好きにさせたら、あたしの身体、どうなるんだろう。
熱い塊がどくどく脈打ってるお腹の奥を意識しながらそんなことを思って、ちょっぴり胸がもやもやしてくる。 だけど、頭に浮かぶのはその漠然としたこわさだけ。この腕の中から上手く逃げる方法までは、火照りきった思考には浮かんでこない。 何より全身が泥か何かに変わっちゃったみたいに重たくて、ちっともいうことを聞いてくれない。
頭も手足もすごくだるいし、指先にすら力が入らない。口はうまく回らないし、どこも酸素が足りてない気がする――

「っとによー・・・どーなってんのこの子。いつもイイけど今日はマジでやべーわ・・・」

どんだけ銀さんを夢中にさせたら気が済むんだよ、なぁ。
力の抜けきっただるそうな声にからかわれて、ちゅ、ってこめかみにキスされたら、とくんと心臓が跳ね上がる。
あたしの胸を鷲掴みしてた手が、やっと膨らみをやっと手放して。 ゆっくり顔まで昇っていったその手が、下唇をそうっとなぞる。 妖しく光る伏せ気味な目にじっと間近から見つめられたらそれだけで背筋がぞくぞく震えて、男の人に埋められたままの熱いところがひく、ひくんって大きく疼いた。

「〜〜〜・・・っ!」

だめ、変な声が出ちゃう。銀ちゃんに聞かれちゃう。
恥ずかしさと気持ちよさで震え上がった唇を噛む。飛び出そうになった嬌声を、あたしは咄嗟に閉じ籠めようとした。 なのにその声が口の中まで昇ってくる直前に、長くて節の太い指が口の中まで入り込んできて。 ぐ、って無理やりに舌を押さえ込まれて指を二本も突っ込まれて、喉までこじ開けられた苦しさで涙がこぼれる。唾液が口端からつうっと滴る。 こらえきれなかったいやらしい声は、喉から甲高く突き抜けていった。

「っぅ、ぅ、ゃら、ひ、っあ、ふぁあ・・・〜〜っ」
「あれっ、何だよ今のえろい声。え、またイきそーなの。銀さん何もしてねーのに一人できもちよくなっちまったの」
「っ、らって、ってぇ・・・か、からだ、ぉかし、のぉ、かってに・・・っ」
「いいんだろ。イったばっかなのにヒクついて止まんねーじゃん」
「ひぅ、ゃあ、やめ・・・っ」

軽く腰を揺らされたら熱の先端が奥へ潜って、お腹の裏側の感じやすいところをずるりと深めになぞられる。
それだけですごく感じちゃって腰をくねらせて身悶えていたら、銀ちゃんは唇を撫でながらくすくす笑って。

「なぁなぁ、そんなに俺のが気持ちいーの。咥えさせられてるだけで感じちまうくらいいいの」
「っっ、ら、らってぇえ、ぎんちゃ・・・がぁ、ぁあ」
「えー、なに。俺が何したって」
「〜〜っぎ、ぎんちゃぁ、ぁあ、ゃらぁ、こすれ、ちゃぁ・・・っぁあ!ゃあ、やんっっ」

とぼけた目つきでにやにやしてる銀ちゃんの腰が、緩やかで浅い抜き挿しをあたしの中に刻み始める。
どろどろにぬかるんだそこを繰り返し何度か擦られたら、刺激を待ちわびてた身体はたちまちにその感覚に夢中になった。 ずっ、ずっ、って擦られるたびにびく、びくって腰が跳ねる。だらしなく投げ出した足の爪先が、震えながらきゅうって丸くなる。

「〜〜〜んん・・・っ!・・・・・・ぁ、あ、やぁ、もっ、やだあぁ・・・っ」
「あーあー、イきっぱなしで止まんねーじゃん。いつからこんな淫乱になっちまったんだよー、うちのちゃんは」
「あ、あ、ゃあっ、・・・ふぇぇ・・・〜〜っ、いっ、いっちゃうぅ、ぁ、あ、ああっっ」

耳元に注がれた銀ちゃんの声は、すこし冷ややかで意地悪で。
なのにあたしの身体はそんな銀ちゃんの声を悦んで、声も出せないくらい気持ちよくなって。 〜〜っ、って開きっ放しの唇を震わせながら、きゅっと丸めた足の爪先まで痺れで一杯にしてイってしまった。
――どうして。どうしてこんなに感じちゃうんだろう。
いつまでも痺れがおさまらない。 お互いの熱と潤みがどろどろに蕩けて混ざり合ってる、お腹の奥のいちばん深いところがたまらなく疼く。 身体中に広がっていくその疼きがせつなくてしきりに腰をくねらせていたら、見透かしたように笑った唇につうっと首筋を舐め上げられて。 肌をぬるりと濡らされる感触に、ぞくりと背中が震え上がる。 胸の頂でぷくりと膨れてる小さな蕾を二本の指で摘まれたら、背中のぞくぞくが止まらなくなる。 吐息みたいな掠れ声でふっと笑った銀ちゃんの両手が、膨らみを下から掬い上げる。
つんと尖っって薄赤くなった先を、硬い指の先が転がす。二本の指できゅって挟んで、爪でぴんって強めに弾く。 びくん、びくん、って腰を浮かせずにはいられないような鋭い刺激が繰り返しお腹の奥まで押し寄せてきて、

「っあぁ、ふあ、ぁあ・・・あぁん、っっも、ゅび、やぁ、やらあぁ」
「やだじゃねーだろ、いいんだろ。これやると必ず俺の締めつけるくせに」
「そんな、してな、あぁ・・・っ。んちゃあ、やぁ、ぃ、ぃじめちゃ、やぁあ」
「だめー、今日は銀さんとことん苛めてー気分だから。いじめられて感じてる悪い子を一晩中イかせまくるから」
「あぁ、っだめぇ、あ、あっ、〜〜〜あぁあぁっっ!」

ああ、どうして――どうしてこんなに感じちゃうんだろう。
銀ちゃんの声で厭らしいことを言われたり、わざと辱めるような言い方をされると、あたしの身体はそれだけで感じやすくなっちゃう。 子供みたいに抱っこされて、お腹の奥で脈動するものを感じてるだけで、まだびくびくとうねってるそこがどうしようもなくざわめいて達してしまった。
これでもう何度目だろう。 身体はどこもくたくたで手足は力が抜けきってるのに、なのに、もっと、もっと、って蕩けきった身体が欲しがってる。 男の人に貪られて苦しいのに気持ちよくなっちゃうときのあの感覚を、身体中が欲しがってる。 だから達してしばらく経っても銀ちゃんのを物欲しそうに締めつけたままで、そこを埋め尽くした快感もちっとも引いていってくれない。 銀ちゃんがすぐに硬さを取り戻して腰をゆっくり回し始めたら、いやらしく蠢く粘膜はその動きに合わせるように熱の塊にまとわりつく。 深いところをゆるゆると、けれどじっくり掻き回されてる。さっき初めて気持ちよさを感じたところも何度か擦られて、そのたびに声が甲高く跳ねる。
銀ちゃんがあたしに送り込んでくるのは、これまでよりもうんと穏やかで遅い動き。 だけどそのぶん、中を埋めた熱の塊の大きさやかたちをはっきりと感じてしまう。 まるで身体に覚え込まされてるみたい。 この熱さやかたちを感じただけで銀ちゃんに逆らえなくなるように、全身の感覚に教え込まれてるみたい。
・・・それってまるで調教みたいだ。今のあたし、飼い主に躾けられてる動物みたい。
すっかりいやらしくなった身体をもっと深い気持ちよさで躾けられて、少しずつ、少しずつ、銀ちゃんの思い通りに変えられていく――
そんな倒錯したことを思ってしまって背筋をぞくぞくさせてるうちに、擦られてるところよりもうんと奥のどこかが波打ったような感覚が走る。 そこからお腹中にこらえきれない痙攣が広がっていって、せつなくてじっとしていられない。思わず銀ちゃんの胸に縋りついて、ぐすぐす啜り泣きながら甲高い声で喘いでしまった。

「・・・〜〜っ、っく、ぅう、あん、ぁあ、あ、っひ、ぁあっ」
「あれっ、どーしたのちゃーん。あれだけイきまくったのにまだイくのかよ、やーらしー」
「あ、あぁっ、あんっ、ぎんちゃっ、銀ちゃあ、も、めぇ、ぉ、おねがぁ・・・っ」
「その泣き声エロいって。んだよちょっと動いただけじゃん、もう我慢できねーの」
「ち、ちがっ、ぁんっ、っっ、やぁ、でちゃ、のぉ、こぼれちゃぅう・・・っ」
「あー、なんだよ、またぁ?だめじゃんー、いくら出してやってもすぐお漏らしちまうんだから」

我慢できねー悪りー子には、もっとお仕置きしてやんねーとな。
とぼけた目つきであたしを眺めながらつぶやくと、やけに嬉しそうに緩みきった顔を近づけてくる。
お漏らし、なんて言われちゃったのは、繋がり合ったところからこぷ、こぷって音を立てて溢れた白くて濁った粘液のことだ。 ゆるゆると腰を回すような動きで大きく揺らされるたびに、身体が飲み込みきれなかったものが奥から遡ってくる。 脱力しきった太腿は、ぶるぶる小刻みに震えてる。お腹の底から粘液が遡ってくる弱くて微妙な感覚だけで、すっかり感じてしまってるから。
そこに視線を落とした銀ちゃんの手が、どろどろに汚された太腿の片方を裏からぐいと抱え上げる。 ぐっしょり濡れたやわらかい肌に熱い手のひらを這わせながら、呆れたような顔で笑って、

「まぁしょーがねーか、全部は呑み込めねーよなぁ。薄っぺらいし狭そうだもんなお前の腹ん中」
「・・・やぁ、もぅ、らめぇ・・・・・めなの・・・にぃ・・・っ」
「えー、やなの。ほんとにいやなのこれ。嫌がるわりにナカとろっとろに蕩けさせて締めつけてんじゃん」
「あっ!〜〜っっゃ、あっ、あぁんっ、ああぁあっ!」

銀ちゃんに背を向けた恰好に戻されたのと同時で、膝裏に腕を通される。ゆさゆさと大きく高く、上下に身体を揺さぶられる。
持ち上げられればお尻が浮いて、熱い杭にずるりと擦られて悲鳴を上げた全身が跳ねる。
お尻が宙に浮いた状態で銀ちゃんの腕が動きを止めれば、あたしの身体を支えているのは太腿を抱えた二本の腕と、半分抜け出た熱い杭だけ。 どこにも力が入れられない、不安定で頼りない体位。 今にもぐらりと前のめりに倒れてしまいそうで怖い姿勢は、蕩けた粘膜を狭そうに押し返すものの太さや脈動に否応なく感覚を集中させた。

「っっぁあっ、いっ、いっちゃぁ、あ、あっ、〜〜ああぁ・・・――っっ」
「はは、またイった。・・・やっぱすげーよなぁお前。 こないだまで痛くて入んねーって泣いてたのに、今じゃ自分から締めつけてくるし。俺のもんに吸いついて離さねーし?」
「〜〜っ」

ひどい。銀ちゃんのばか、ばかばかばか。そんなことばかり言われたら、恥ずかしくって死んじゃいたくなる。
そう思って恨めしくなるのに、昂揚した目つきで笑う銀ちゃんをきゅううっと締めつけて感じてしまう。
だって、恥ずかしさなんて忘れちゃいそうになるくらい気持ちいい。 お腹の奥がもっともっとって銀ちゃんを欲しがって吸いついて、いちばん深いところから熱いものを溢れ返らせてる。 繋がったところからぬるぬると滴り落ちていったその熱が、半分抜け出た赤黒い杭まで濡らしてるのが目に入る。 なのに恥ずかしさを感じない。身体の芯からひっきりなしに這い上がってくる、甘い痺れしか感じられない。 耳をぺろぺろ舐められて、かぁっと火照ったその奥に「ほら、イけよ」って笑い混じりの突き放すような声を注がれたら、もう我慢なんてできなくて。 持ち上げられて宙に浮いてる腰や太腿をぶるって大きく震わせて、喉を逸らして泣き叫びながらイってしまった。

「ぁ、あぁぁあぁああ・・・・・・っ!」
「なぁ、これで何度目だよ。すげーよなぁ、男なんて知らなかった子がもうこんな身体になっちまって・・・」
「・・・〜〜っ・・・ゃあ、やらぁ、もっ・・・〜〜っ」

膝裏に回された腕が片方だけ離れて、引き締まった胸にぐったり凭れたあたしの頭をぎゅって抱く。 ひとりごとみたいにつぶやいてからくすりと笑った銀ちゃんは、頭の天辺に熱い唇で触れてきた。
すごく甘くて優しい触れ方。乱れた髪を撫でつけながら頭を滑る手のひらも、うっとりしちゃうくらい心地いい。 なのにふっと視線を合わせた銀ちゃんの顔は、あたしのいやらしさを咎めようとしてるみたい。 口端を吊り上げた意地の悪い笑みを浮かべて、細めた瞳で見つめてきた。

「ここまで仕込まれちまったんじゃどこにも嫁に行けねーよなぁ。すっかり俺ので躾けられちまってるもんなぁ」
「・・・っ、ふえぇ、ゃあ、ぃわな、でぇ・・・っ」
「だってよー、熱出して今にも落ちそーなくれーぐったりしてるくせにこれだぜ。 ほらここ。俺の咥えたここ、どーなってんのか自分でも判るだろ。あぁん銀ちゃんもっときもちよくしてぇ、って涎垂らして欲しがってんだろ」
「〜〜や、あぁ、ああぁっ」

顔から火が出そうなくらいの恥ずかしさで全身が震える。このまま銀ちゃんの視線を浴び続けるなんて、とても耐えられそうにない。 泣きそうに歪めた顔を覆って熱くなった瞼も瞑って、斜め上に感じる意地悪な視線から逃げようとしたんだけど――
だけど――あぁ、あたしの身体、どうなっちゃってるんだろう。
恥ずかしすぎて震えが走ったお腹の奥が、なぜか銀ちゃんを締めつける。 もっと欲しいの、もっとして、って銀ちゃんにおねだりしてるみたいに、激しくうねって疼いてる。
我慢できずにあぁんって喘いで伸び上がったら、銀ちゃんの腰が動き始める。 くちゅ、くちゅって弱めに奥を捏ねられる。 何度も同じようにそこを押されて、粘着質で籠った水音が部屋中にひそやかに響き渡る。 お腹の底から這い上がってくるのは、微弱で優しい気持ちよさだ。
・・・・・・でも。どうしよう、泣きたくなっちゃうよ。だって。だってこんなふうにされたら、あたし――

「・・・ゃあ、やらぁ、ぎ、ちゃあ、ぁ、ぅあ、ひ・・・んん・・・っ」
「んー、何、どーしたぁ」
「ふぁあ、っっ、これ、やぁ、っぉ、ぉねがぁ・・・っ」

やだ、おねがい、って啜り泣きながら長い指を掴んでみても、銀ちゃんは知らないふりで腰を揺らす。
・・・・・・言えない。言えないよ。これじゃあ足りない、なんて言えない。
身体中が銀ちゃんを欲しがってるのに、ぜんぜん足りないのに――こんなふうに半端に焦らされたら、お腹の奥がせつなさできゅううって竦んですごくくるしい。 涙と喘ぎ声が止まらなくなるくらいもどかしい。ずっとこれじゃ気が狂っちゃいそう。 なのにあたしを抱えた腕は小刻みにゆっくり揺さぶってくるだけ、いくら待ってもそれ以上はもらえない。 とうとうもどかしさをこらえきれなくなったあたしは、自分から銀ちゃんにしがみつくしかなかった。




「猛毒いちごシロップ #6」
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text *riliri Caramelization  2016/02/27/       next →