いいもの見せてあげるから、そっちの部屋で待ってて。
そんなことを言ってきたのは、セーラー服にギンガムチェックのエプロンを重ねた女子高生だった。
ところが数分後、追いやられた寝室から顔を出すと、女子高生がいるはずのリビングには
肩や背中が大きく開いたドレスを着た知らない女が。鏡を覗き込んで自分の姿をチェックしていたその女が
口を開いた瞬間、俺の手からジャンプがばさりと滑り落ちた。
「ねえ先生、見て。どう?似合ってる?」
――なんて尋ねられても言葉が出ない。さらにそのまま数秒立ち竦んでしまうくらい、は別人に変貌していた。
ついさっきまで狭い台所で得意料理のカレーを作っていた女子高生はどこに行ったのか。
長い髪を指先で掻き上げて露わになった背中へ流すときの大人びた仕草も含めて、俺が目にしたことのないがそこにいる。
男の一人暮らしらしくそこそこに雑然としている部屋の中で、が立っているそこだけが日常からかけ離れて華やかだった。
シンプルなデザインのノースリーブのワンピース。艶のある藍色の生地の色合いは窓から見える闇夜のそれと似ていて、
抜けるような肌色の白さをよく引き立てている。上半身は胸や腰のラインを際立たせるぴったりした造り。
スカート部分は膝丈。中に何かが詰まっているのか、腰から裾にかけてがふわふわと膨らんでいる。他にも
女性用の服らしい装飾性があれこれ加味されているが、――以下省略。女物の細やかなディテールを賞賛する詩的な語彙、
なんて気障ったらしいもんは俺の頭には詰まっていない。その手の常套句が似合わない自信も大いにある。
黒のニーソを脱いだ素足にはドレスと同系色のハイヒール。女子高生には履き慣れないだろう高いヒールを颯爽と履きこなしたは、
くるりとその場でターンしてみせた。細いヒールがこつんと床を鳴らし、裾広がりなスカートがふわりと高く舞い上がる。
太腿の色白さが目に飛び込んでくる。
「ねえ、どう?」
「どうってお前・・・いやまぁいーんじゃねーの、大盤振る舞いで。回ったら太腿丸見えだったし」
「えっ、うそっ」
俺を見上げて蠱惑的に微笑んでいた表情が、一瞬であわてふためく女子高生に戻る。
そんなに見えるんだ、気をつけなきゃ。スカートの裾を両手で抑えながらは独り言を言っていた。
「なぁ、なにこれ。どーしたのこの服。何のコスプレ」
「ねえ、どきっとした?少しは大人っぽくなった?背中とか大丈夫?開きすぎじゃない?どこか変じゃない?」
「いやだからこっちが訊いてんだけど。質問責めにする前に説明してくれる」
「これね、来月のコンクール用なの。さっきお店から引き取ってきたばかりだから、
最初に先生に見てもらおうと思って。ねえどう、似合う?大人っぽくみえる?」
見える、と心の中では即答したが声にはなっていなかった。突然大人の女に変身した女子高生を感嘆の目で見つめるうちに、
朝から寝癖が直らない頭をボリボリと掻いていた右手がいつしかだらりと下がっていく。
は三月に高校を卒業する俺の教え子だ。担任している教師と生徒、・・・というだけの関係ではなくなってしまっていることは、
今夜のようにこっそり俺の部屋にやってきた彼女がその都度ここに泊まっていくことでも明らかだろう。
そんな人に言えない関係性についてはさておき、は四月から私学の音大でピアノを専攻する予定だ。
師事している演奏家からの薦めもあって学生向けの音楽コンクールにも時折参加しており、
コンクール用のドレスとはそのためのもので。学校の音楽室以外での演奏を聴いたことがない俺には、初めて目にする姿なんだが―――、
・・・・・・まったく見違えたもんだ。いや、困ったもんだ。ドレスを新調するたびに毎回これをやられたんじゃたまらねーな。
しかしこれだから女は怖い。服を変えただけでこうも変わる。ずりーよなぁ。これって男には使えねえトリック、――つーか、魔術だろ。
苦情なんだか讃嘆なんだかよくわからない感想で頭を一杯にしながらも、俺はまじまじとを眺めた。綺麗だ。一目で言葉を失うくらいには綺麗だ。
先月出席した大学時代の悪友の結婚式でもこれと似たかんじに着飾った女子の一団を眺めはしたが、
そこで目にした誰よりも遥かに俺の好みだと思った。恋人という立場からの贔屓目効果でも何でもなく、皮肉のひとつも出てこないほど似合っている。
惜しむらくはそんな彼女を取り囲んでいるロケーションが、独身野郎の狭くむさ苦しい部屋だということか。
「ねえ先生。先生は女の子のこういう恰好好き?どう思う?黙ってないで何か言って」
「・・・・・。あー。あーあー、そうそう、そうだわこれな。うん、どっかで見たと思ったわ」
「・・・?どっかでって、何が?」
「制服と同じじゃね、この色」
「・・・・もう。ねえ、あとは?他に言うことないの」
「な。どーやって脱ぐのこれ。ファスナーとか見えねーんだけど」
なんて言いつつ近づいていって服の胸元を摘まんでみる。大胆に開いた胸元にも
どさくさ紛れに触れてみたが、途端にぺちんと弾き返された。ばか、とつぶやいてうつむいた横顔はうっすら赤い。
ちょっと肌に触れられただけで恥じらっている初々しさと、元々大人びて見える容姿との落差から生まれる色香といったらなかった。
「へんなとこ引っ張らないで。下にズレちゃう」
「コンクール用ねえ・・・なにお前、こーいうの毎回親に買ってもらってんの」
「・・・・・・。違うけど」
ふーん、とつぶやきながら、違う角度から眺めるふりで背後に回る。薄い肩から今にも滑り落ちそうな布地を指に引っ掛けてみた。
くい、と斜め下方向に強く引くと、あっ、と声が上がって、は胸元を両腕で押さえる。「やめてってば」と焦った声で制してくる後ろ姿を
上から覗き込むと、何やらもぞもぞと服の内側を引っ張り上げていた。大きく開いた衿口から指を入れて奥の何かを引き上げようとしているあの仕草。
どうも中の下着がズレたらしい。どうしよう、と眉を下げた困った様子でしきりにこっちをチラ見してくるから、くっ、と吹き出しそうになった。
判ってねーなぁ。そんなに俺の目を気にされたんじゃ、こっちは俄然からかいたくなるんだが。
「あれ、直さねーの。恥ずかしいんなら向こう向いててやろーか」
くるり、と振り返って睨んできたは何か言いたげだった。しばらくうらめしげな目で睨んでいたが、
にやついた顔で構えている俺の態度に呆れたらしい。諦めたようにそっぽを向くと、ずり落ちた布地を引っ張りながら、
「これは毎年落選してたコンクールでやっと本選に残れたから、そのご褒美なの。
来月の本番で着るんだけど・・・ねえ、どうかな。変じゃない?」
「どうって、・・・まあ驚いたけど」
「・・・・・・。そんなに変?似合わない?」
「いやいや、そーじゃねーって。似合ってるから驚いたんだって。服一つですげぇ雰囲気変わってたから、お前」
何気ない言葉でもほのめかすならともかく、真正面から褒めるとなるとさすがに照れ臭い。半笑いで白状すると、
は瞳を大きく見開いて俺を見上げてきた。何か言いかけた唇が半開きになったが、
相変わらずにやつきっ放しの俺の視線に気付いて口をつぐんだ。期待で胸を弾ませていそうな顔というか、見ているこっちにまで
その心臓の高鳴りが伝わってきそうな顔が、黙ってこっちを窺っては恥ずかしそうに目を逸らす。とっくに二十歳を超えたおっさんにはまぶしすぎる
初々しさだ。このままぎゅっと抱きしめたくなるほどに可愛い。けれどあまりにまぶしすぎて、ついつい口端に苦笑が滲んだ。
「正直見蕩れたわ。呼ばれてドア開けたら見たことねー色っぽい女がいたから、驚きすぎて言葉もねーっつーか」
「・・・・・・。そんなに?・・・別人みたいだった?」
「まーな。普段の私服も可愛いけどな。いーんじゃねえの、たまにはこういう背伸びしてみました的な格好も。
まぁ、これ見たらさらに男どもが寄ってきそーで俺は心配だけど」
「・・・・・・ばか」
さっきよりも小さく萎んだ消えそうな声が、恥ずかしそうにぽつりと漏らす。なんとなく覚束ない手つきで
脇の下に寄ったドレスの皺を直し始めた。そんなぎこちない仕草もやけに艶めかしい。
制服に包まれている普段の姿とは違って、うっすらと色づいた肩や腕や背中が俺の目に晒されているせいか。
なんて思いながら眺めるうちに、俺と彼女の距離感が普段とは少し違っていることにも気づいた。
が履いているハイヒールのせいだ。人に知られては不味い俺たちの関係上、肩を並べて外を歩く機会などごく稀だが、
――の華奢な足を支えている細いヒールの高さのせいで、今は普段よりもお互いの顔と顔の距離が縮んでいる。
普段の俺たちの距離なら、・・・そうだな。にうんと背伸びをさせて、俺が腰を屈める。それでやっとキスできる距離が成立する。
今は俺がちょっと屈めば楽に唇に届く程度、ってとこか。
「なーー。ちょっと顔上げて」
「・・・・なに」
試しに呼んでみると、照れ隠しに怒っているような子供っぽい表情をこっちに向けてきた。屈んで顔を寄せていき、
色づいた頬に軽く唇を落とす。ぴくり、と揺れた柔らかい肌に手を添えた。
「へー。いいなこれ。近くて」
「・・・・・近い、って?」
「んー。なんつーかまぁ、・・・実験?」
「実験て、・・・何の?」
引き寄せながら顎を上向かせると、はわずかに眉を寄せた。ぽうっと頬を染めて俺を見つめて、困ったように目を逸らす。
ドレス姿を突然お披露目した時に見せていたような、俺を翻弄したがっている時の大人ぶった余裕は残っていない。
女というよりも少女寄りで子供っぽいが、この年頃の少女にしか出せそうにない無意識な媚態だ。
睫毛を伏せ気味にした目元に唇を落としながら、困ったもんだ、と俺は眉を曇らせた。
明らかに病状が悪化しているとしか思えない。まさかこんな危うげな、不安定に揺らめく子供の色香にこうも惹きつけられるようになるとはな。
「・・・。そんなにじっと見ないでよ」
「いーじゃん見せろよ。俺に見せたかったんだろ、この服」
「・・・・・・そう、だけど、」
「ん。じゃあもっとよく見せて」
「・・・・・・・・っ、ん・・・」
長い髪が流れる背中を抱き寄せ、ためらいがちに上向いた顔にゆっくり顔を近づける。
つやつやと潤った唇にかさついた自分の唇を重ねた。
しっとりと滑らかな髪の流れを手に収めて撫でつけながら、甘い香りのする唇を押すようにして割った。
「んっ、ふ、・・・せん・・・・・・・・っ」
俺を呼ぼうとして動いた舌を押し返し、喉の奥まで閉じ込める。
の口の中はいつ触れても柔らかい。こうして舌で探るどの場所も、触れた瞬間にとろりと蕩け出しそうに熱く柔らかい。
濡れた舌を絡め取り、逃げられないように深く奥まで侵入していく。這い進んでいった舌先で上顎を撫でると、は
自分から俺の胸に縋ってきた。もっと強く抱き締めてキスを重ねていくごとに、ふぁ・・・、と漏れる鼻声が甘さを増していく。
その声を耳にするたびに、喉の奥でこらえていた息苦しさが身体中を締めつけていく。顔を固定していた手を少しずつ下ろしていって、
肩から胸元、ほっそりした腹部の曲線、なめらかで張りのある布地に包まれた丸い腰の感触を撫でていく。何度も手のひらを上下させて、
の身体中を撫で回した。止めようにも手が止まらない。深く埋め込んだ舌はずっとの口内で蠢いている。
――見慣れないドレス姿を目にしてしまった、あの瞬間。あの時にはもう、こうなることは判っていた。
あの時すでに、俺の中はを抱きたい気分で満ちていた。
「なぁ。脱がせていい」
「・・・!」
「なんかこの布薄いし、柔いし。無理すっとうっかり破っちまいそーでこえーから、脱がせ方教えて」
「やだっ、今着たばっかりなのに――っ、せ、先生っ。ちょっと、だ、だめって、」
「んぁー、まぁそーだけど。もういーだろ。俺に見せるっていう目的は果たせたわけだし」
やめて、とあわてて押し返そうとしてくる手の動きには構わずに、背中を抱いていた左腕で
藍色の生地を撫で回す。あちこちに手を這わせて確かめたが、
この手の服なら背中にあるはずのファスナーらしき線が見つからない。
どうも生地がぴったりと身体に張り付きすぎているというか、ジャストサイズすぎて探しづらい。・・・どーなってんだこの服は。
背中との隙間から指を入れてみようとしたが――
「・・・すげーなこれ。何気に鉄壁じゃん。ぴったりすぎてどこから脱がせていーんだかわかんねーわ。
なぁ、どこにファスナーついてんの。教えて」
「せ、先生、だめ、そこ、引っ張ったら・・・!」
「もし破ったらマズくね。高けーんだろ、これ」
逃げようとするを片腕で食い止めながら、脇の下に手を差し入れると――あった。これか。
腕の付け根から下へ伸びる直線の上端を指で探って、ぴっ、と手早く引き下げる。きゃあっ、と悲鳴を上げられたが、
はらりと緩んだ服の胸元をぐいと下げた。勢いづいていた俺の手は光沢のある薄い生地と一緒に、その下に隠れていた
肩紐なしの水色のブラまで引き下げる。真っ白な膨らみがふるっと弾みながらこぼれ落ちる。
はぱあっと頬を赤らめ、そこだけが生々しく剥き出しにされた自分の胸を隠そうとする。
素早く動いた細い腕を、俺は掴んで押し止めた。わざと何か企んでいるような表情を装って、目を細めて笑う。
・・・抱いた後で口にしても、一度身体を交わらせただけで疲れきってしまうは覚えてなんかいねーだろう。
それでは何かグダグダになりそーだし、とりあえずこれだけは言い聞かせとかねーとな。
「あのさー念のためっつーか、後学のために教えておくけど。こんな脱がせたくなるような服着てる時に野郎と二人きりになったらダメだから。
ちょっと油断した隙にこーやって襲われるからな。判った?」
「ま、待って。ちょ・・・っ!」
背中を支えながら後ろに押して、壁際のソファまで連れて行く。かつん、かつんっ、とハイヒールの踵が床を弾いて、よろめいたは、
どさ、とスカートの裾を舞わせながらソファに落ちた。こぼれ落ちた胸の下を窮屈そうに締めつけていたブラは、ホックをぷちんと外してやる。
剥き出しになった肩を掴んだ。
背もたれに倒れ込んだの胸に吸いつく。ちゅ、と舌先を這わせてきつく吸うと、透けるような色白の肩がびくんと震えた。
「あ・・・・っ」
「なぁ。これってさあ。・・・全部脱がせるよりも却ってやらしーよなぁ」
「え、・・・っ、やだ、・・・・・・・・・〜〜んんっ、」
「服の色が暗いからー、・・・・・・却って胸が目立つっていうかー。・・・こーやって見るとお前、すげーエロいんだけど」
「あ、やぁ、せん、せぇ・・・っ」
固くなり始めた淡い色の蕾を舐めながら転がし、ちゅく、ちゅく、とわざと音を立てて吸いながら話す。
藍色のドレスの上辺に乗っかるようにして上下に揺れている膨らみは、ひどく淫らで艶めかしい。こうして挑発するように
見せつけられていると、さっきから熱く燻っている下半身の疼きがこらえきれなくなってくる。
「ここ、気持ちいい?もっと弄っていい?」
「んっ。ふ、ぁあ・・・」
目の前で揺れる白い丸みを手のひら全体で握る。弾む柔らかさに指を埋もれさせて強く揉むと、
は気持ちよさそうに目を閉じた。唇から吐息のような声が絶え間なく漏れ出すようになって、揉みしだく手の動きに合わせて腰をくねらせている。
随分と感じやすくなったもんだ。
俺がこの子を抱くようになってから、の身体はどんどん変わり続けている。今ではこうして胸を弄り、先端を舐めてやるだけで
女の反応を示してくる。初めて抱いた時にはもっと表情が硬くて、どこを触ってもぎこちない反応が返ってくるだけだったが。
「あぁ・・・、はふ、ぅ・・・」
「。このままここでヤってもいい」
「ひぅ・・・んっ」
「あー。ごめん。もう喋れねーよな」
「ぁあ・・・!」
両方の膨らみを手に収めて弄り続けているうちに、の反応も変わってくる。目を閉じた表情が泣きそうに歪む。
俺がソファから降りての前で膝を突くと、縋りつくものを求めていたのか、細い腕はぎゅっと頭に絡みついてきた。
吐息のような声が甲高くなり、焦れている腰が左右に揺れてスカートの裾が捲れ上がる。真っ白な太腿に手を這わせながら、
すっかり尖った胸の先を舐め続ける。もう片方の先は指の腹で刺激した。くるくると回しながら撫で、きゅっと摘まみ、ぴん、と弾く。
ああっ、と高く喘いで、は俺の頭に顔を埋めてかぶりを振った。今にも泣き出しそうな息遣いに首筋をくすぐられる。
宥めるつもりで顔を上げて、ちいさく震える唇を奪うようにして塞いだ。
ここでを喘がせるのは初めてだ。いつもは隣の部屋に連れていって、部屋を暗くして、
ベッドでキスして脱がせてやって――そんな教科書的な抱き方しかしていない。
太腿を撫でていた手をスカートの奥へ進める。一番奥の秘められたところまで指を捻じ込む。
思った通りそこは熱く潤んでいた。薄い布地の上から撫で始めると、それだけでじっとりした感触が指先に纏わりついてくる。
の太腿がきゅっと締まる。俺の頭を抱いた腕に力が籠って、
「んぅ・・・・・ゃあ、やだぁっ。そこ、やっ・・・」
「これさー、やべーんじゃねーの。これじゃ服まで染みるだろ。シミになるって」
「〜〜っ。はぅ、あ、あっ、せんせえ、ばかぁ・・・っ」
「今日ここ、すげぇ濡れてるな。いつもと違うことしたから?それとも、いつもと違う場所でヤってるから?」
「っ。や、やだ。っっっ、ぁ、ぅあ・・・んん!」
下着に染み出した線に沿って谷間を強めに撫で上げてみた。急にの太腿がぱちんと閉じて、背中がびくんと反り上がる。
揺れる膨らみを揉みしだきながら、薄布の奥に秘められた花芯に届くくらい深く指を潜らせる。くちゅ、くちゅ、と粘った水音がスカートの奥で
ひめやかに鳴る。濡れた布地を撫で上げるようにして縦に往復させた指の動きは、の快感を高めたらしい。仕方なく俺を受け入れるかのように、
太腿の力が少しずつ緩んでいく。ソファに沈んだ腰に手を掛け、下着を無理やりに引き下ろした。細く丸まったそれを脚から絡め取って床に放る。
腰の下に敷かれていたスカートも捲り上げたが、これは下着と違って無理に脱がせるわけにもいかない。
手荒く脱がせて破ったら事だし、薄い下腹が剥き出しになる高さまで捲り上げてみると、――やけに膨らんでいたスカートの中身がようやく分かった。
細かい網状の透けた布だ。幾重にもなっての腰を取り巻くそれも汚さないように引き上げ捲ると、かろうじて胴だけを隠しているドレスの藍色と、
露わにされた真っ白な胸や濡れた秘部との淫猥なコントラストがひどく目につく。床に着いていた足をソファに持ち上げて太腿を横に押し開くと、
粘液に覆われた赤い花のようなそこの左右に、履きっ放しにした大人びたハイヒールが並ぶ。はぁっ、と感嘆しているんだか呆れているんだか
自分でもよく判らない、どこか苦し紛れな溜め息が出た。
「うっわ。エロいよなぁ・・・」
思わず漏らした本音に混ぜて、焼けつくような喉の渇きをごくりと呑み込む。
照明が点けっぱなしの明るい部屋でこんな淫らな姿を俺の視線に晒されていることを、はもう意識できていないらしい。ぐったりとソファに
もたれている。熱い水面のように潤んだ瞳でぼんやりと俺を見つめて、ぼうっとした表情で苦しげに喘いでいるだけだ。
乱れた格好で自分から男を誘っているような生々しさは、男と身体を重ねる快楽を覚え始めたばかりのにはまだ不釣り合いで。
なのに見ていると薄暗い欲情がこみ上げてきて、早く挿れたくてたまらなくなった。ついこの前処女を失くしたばかりの高校生を、
気を失うほど乱れさせてみたくなる。
開き気味になっていた太腿をソファの背面に押しつけて大胆に開く。女の匂いを放ち始めたの中心に顔を寄せて、とろとろと溢れ出す雫をゆっくり舐めた。
「――っ、ふぁ・・・っ」
「ほら聞こえるだろ、お前のここ。ちょっと舐めただけでやらしー音出るし」
「あっ。だめ。だめぇ、っ」
ぴちゃぴちゃと音を鳴らして舌が蕩けそうな熱さを舐め取りながら、隠れている小さな芯を指で暴く。
二本の指を使ってそこを柔らかく挟むと、甘い喘ぎ声が漏れ出す口元を抑えたの身体は小刻みに震える。つぅっと、透明に光る雫がソファに滴る。
俺は目の前で広げられた熱い秘部に舌を差し入れ、唇や舌に纏わりつく熱い粘液ごと舐めながら口を開いた。
「あーあー、また溢れてんじゃん。これっていつもよりよかったせいだろ。なぁ、何がよかったの」
「あぁん。っっ、せん、っ・・・!」
「言ってみろって。何でこんなに感じてんの。俺に褒められて嬉しかった?それとも、綺麗な服でエロい格好させられたから?」
「〜〜〜んんっ、ぁあ・・・っ!」
わざと責める言葉ばかりを重ねながら舐め続けると、高い声で啼いたの太腿が、ぶるっ、と震え上がってわずかに浮いた。俺が弄っている
ほんのちいさな部分に生まれた身体中を痺れさせる感覚を、手足の先まで震わせながら必死にこらえている。
「あ、ぁあ、っめぇ、せん、せぇ、っ」
「ほら。答えてみろってー。答えてくれたらもっと気持ちよくしてやるから」
「あっっ、んぅ・・・・・っ!」
ぐっしょりと潤んだ入口に指を押し当て、ちゅぷ、と音を立てて割り入った。ゆっくりと中へ埋め込んでいく。
固い異物に広げられる感触がいまだに辛いのか、この瞬間のはいつも身体を強張らせて苦しそうだ。指を送り込んだ柔らかい中が俺の感触に
従順に馴染んできたのを見計らって根元まで埋め、指先を動かす。口内よりも熱が高い壁の奥までくちゅくちゅと探り、
引き抜き、繰り返しながら狭い中を掻き混ぜる。
ちゅぷ、じゅく、と鳴り続ける籠った音を聞かされるのが恥ずかしいのか、じきには俺の首筋に顔を埋めてしまった。
こうして抱きつかれると、ちょうど耳のあたりに押し付けられた唇から吐息の熱と途切れがちな声が直に伝わってくるのがすごくいい。
この子がイく寸前の――がひどく感じている時のせつなげな声だ。
「せん、せぇ・・・っ、も、そこ、やぁっ、・・・ぅ、ぁあん・・・!」
「教えろって。なぁ、どれがよかった。それとも、どれもよかった?」
「やだぁっ。ど・・・ど、して、訊く、の、そんな、・・・・・っ」
「そりゃあ訊くだろ、知りてーし。が感じてくれると嬉しいから、俺」
イッた時のやらしい顔とか、毎日でも見てーし。
火照った耳たぶに齧りつくようにして、抑えた声を吐息ごと吹き込む。この子がこれに弱いことは知っている。
案の定、それだけでは達してしまった。奥を突くような位置で留めていた俺の指全体をきゅうっと締めつけて、
の内壁が収縮する。奥から吹き出してくる水流を指先に感じる。あぁぁっ、と叫んで仰け反る身体を
押さえながら、弱く痙攣する熱い中を掻き乱した。じゅぶじゅぶと乱してやると中の熱が上がる。俺の指まで蕩けそうだ。
「っぁああ・・・っ!」
「あーあぁ、悪い子だよなぁ。俺にやらしいって言われただけでイったんだ。まだ全然弄ってねーのにな」
「〜〜・・・・っっ。ぁ・・・せ・・・・・・せんせぇ・・・っ」
が顔を近づけてくる。涙を溢れさせた目元に唇を落としながら、ゆっくり指を引き抜いた。
引き抜いた指から熱い雫がつうっと流れ落ちていく。それを見せつけるようにしての目を見つめながら舐めると、頬を真っ赤に染めて
「やだ、やめて」と俺の手を掴んでくる。夢中で縋りついてくる彼女の顔を両手に収めて、何度もキスを繰り返した。一度顔を離して、
して、と目線で促した。そのまま黙って抱き寄せて、自分から俺にキスするように仕掛けてみる。どうしよう、と思っていそうな
悩ましげな表情でためらった後で、は、ちゅ、と俺の唇に吸いついてきた。やわらかく蠢く舌先で唇を撫でられると、
小猫にでも舐められているようでくすぐったい。なのにその甘ったるいくすぐったさが心地よくて、しまいには可笑しくなった。
この拙さが可愛いよなぁ、なんて思ってぎゅーぎゅー抱きしめながら俺の方からに舌を差し入れて、息が出来ないくらいに彼女の中を荒らしていく。
ん、んんっ、と小さく喘いでいる口の中は、蕩けそうに熱かった。