「――な。もっとしてみねぇ?いつもと違うこと」
ぐったりともたれかかってくるを抱き上げてささやき、ソファに座る。その時になってようやく、肝心のあれを用意していないことに気付いた。
一瞬、迷いがよぎったが――自分でも「高校生相手にそれはねーだろ」と思うのに、ここで中断させる気にはなれない。
履いていたジーンズのジッパーを下げて、元から緩めな腰回りをさらに緩める。勃ち上がった自分のものを下着から出してやる間すらもどかしかった。
正面から向き合い、左右に割った脚の膝をソファのシートに立てて俺を跨ぐ格好にさせる。そのまま腰を抱いて引き降ろし、
張りつめた先をずぶりと彼女の中に沈める。熱く蕩けそうな感触の良さをこらえながらぐっと奥まで割り込んだ。
「っぁあ・・・・っ!」
思いのほか滑らかに俺を呑み込んでくれたは全身をしならせ、泣きそうな顔で唇を噛んだ。ベッド以外でのセックスも初めてなら、
が上になった体位で繋がるのも初めて。ゴムもつけずに生で繋がるのも初めてだ。強張って腰を浮かせようとする身体を、背中に腕を回して撫でてやる。
なるべく振動を与えないようにゆっくりと力を籠めて、ごめん、と語りかけながら抱きしめた。そのうちに密着させた腰がびくびくと震え始める。
俺を直に感じる熱さと、いつもは刺激されない部分に起きた快感で、の中がきゅうっと縮み上がる。奥までを埋めた俺に絡みつくような柔らかな締めつけに
襲われて、限界だった我慢がブチ切れた。ごめんな、ともう一度申し訳程度に謝っての腰を掴み、もうしばらくはこらえてやるはずだった
激しい動きに切り替える。持ち上げたを先端にぶつけるようにして引き下ろし、ふたたび持ち上げ、ずるりと抜けるすれすれまで
引き上げてからぐっと沈める。
「ぁあ、せんっ・・・、めぇっ、や、これ、もう、っ、っあぁんっ」
半開きになった唇から甲高い声が何度も飛び出て、火照った頬がぽろぽろとこぼれた涙で濡れる。じゅぶじゅぶと
擦るたびにの中が熱を増して、その熱が心地よくて夢中になって彼女を穿った。
細い手が俺のTシャツの衿口を掴んで引っ張り、首に縋りついてくる。俺の腕の中で上下させられる身体から力が抜けていく。
履いたままのハイヒールの爪先が律動に合わせて揺れている。真っ白な胸を上下に震わせている上半身がすっかり脱力したころには、
長い髪を振り乱したは徐々に行為に溺れ始めていた。俺が奥にぶつけるたびにかぶりを振って涙を散らす。せつなげでどこか不安そうな、けれど気持ちがよくて
たまらなさそうな表情になる。泣き声にも甘さが滲んでくる。
「あぁぁん!あ、ああ、ひぁぁっ、やぁ、せ、せんせぇっ、」
「ん。大丈夫。こわくねーから力抜いて。なぁ、もっと奥まで入らせて」
「んぅっ・・・!」
の腰を思いきり引き寄せ、ぐちゅり、と粘った音が部屋中に届くくらいに深く埋める。埋め尽くされた中から押し出された水滴がとろとろと俺の腰に滴る。
新品のドレスを汚さないように裾を捲り上げると、どろどろに溶け合って繋がったそこは俺たちの目にもはっきりと映るようになった。
ん〜〜〜っっ、と声もなく顔を仰け反らせたが、びくびくと背筋や腰を震わせる。彼女の身体を支配した快楽と痺れが俺にも伝わってくるほどに全身を震わせて
絶頂まで昇り詰めた。はぁっ、と俺は苦し紛れな溜め息を吐き出した。達してしまったにきつく締めつけられて、腰を疼かせる鈍い快感を
もうやり過ごせそうにない。
「・・・・・・。もっとよくしてやるから向こうむいて」
「っっ・・・!っああっっ」
浮きかけていた細い腰を両手で持ち、俺の半分を中に残したままでの身体を回してやる。
半周ぐるりと掻き回された彼女の中が、ぐちゅり、とあられもない水音を立てる。はびくんと背をしならせて悶えていた。目の前を塞いだ
白い背中に唇を落とし、舌先を押し付けてきつく吸う。ほんのり汗ばんできた肌に赤い痕を刻みつけながら、浮き上がった腰をぐいと
引き戻して、
「んっ。――、っっ」
「あ、あぁっ、んぁあ・・・っ!」
硬さが増して限界が近い熱の塊を、ぐち、ぐちゅっ、と根本まで押し込む。はぁっ、と深い溜め息を吐きながら抱きしめた。
ひくひくと喘ぎながら俺を受け止めたの中は、この子の口内と感触が同じだ。擦るほどに熱が上がる。潤んだ粘膜が吸いついてくる。
今にもとろりと蕩け出しそうに柔らかくて心地よくて、彼女に包まれて暴発寸前の俺の神経を沸騰させる。
「・・・すっげぇ。気持ちいい。お前の中」
「ぁっ、先生っ。せんせっ、せん、せ・・・っ!」
「・・・。あのさぁ。こーんな時にその呼び方、やめてくんねーかなぁ。いや別にダメじゃねーけど。かえってクるけど」
「ん、あ、ん、んっ、やぁん、っあ、あ、ああっ、あぁっ」
「あぁ、ごめん。今言ったってわかんねーか」
掴んだ腰を持ち上げては下ろし、ずぶずぶと激しく突き立てた。圧力が増した内壁の奥まった部分に隠れている、一番感度のいいところを狙って動く。
そこを重点的に攻めるようにして何度も往復するごとに、潤んだ内壁に柔らかく締め上げられていく。
頬や髪にキスを落としながらそこばかり刺激し続けると、は息を詰めて腕の中で身を震わせた。
「〜〜〜っ!・・・せ、せんせ、だ、めえぇっ・・・!」
「や、だから呼ぶなって。今呼ばれるとなんか余計煽られるっつーか・・・、やべーから」
(先生。)
うんざりするほど呼ばれ慣れた呼称だってのに、ヤってる最中にそう呼ばれるとどうも弱い。というかヤバい。
つい我に返って意識しちまうんだよなぁ。――担任している女子高生を自分の部屋に連れ込んでは、幾度となく姦淫している教師失格な自分を。
未成年に手を出すという犯罪行為に爪の先までどっぷりと浸かって、この子の身体に溺れきっている倒錯した自分を。
しかもそんな現実を意識すると、こうしてを抱くことに慣れ始めている俺の欲求は、萎えてくれるどころか逆に盛り上がってしまう。
冒さざるものをこの手で穢している実感から生まれる、どうしようもなく甘い背徳感。を抱くたびに味わうこれが、どうにも癖になりつつあった。
・・・あー、やっぱ最低だわ俺。こんな奴が教師でいいのか、世も末だな。なんて他人事のように思いながら、余裕のない失笑に顔を歪める。
その時にふと、部屋の端に目を留めた。ああ、見るんじゃなかった、と舌打ちしたくなった。
意識の端にひっかかるように視界に入ってきた紺色のプリーツ。部屋の隅に畳んで置かれた制服のスカート。学校指定の
青のバッグ。毎日見飽きるほど眺めているそれらを視覚が認識したとたん、消しようがない罪悪感がひらめいたが。
「〜〜〜んっ、んんっ!んぁっ、も、だめぇ、せん、せぇっっ」
「・・・っ。。、っ・・・!」
――を限界まで乱れさせたい欲求に突き動かされ、何も考えられないまま腰をぶつける。
ぐったりともたれかかってくるをいきり立った自分の上に引きずり降ろし、穿って啼かせて、男に貫かれた痺れに悶える腰から
強引に引き抜いてまた啼かせる。こうなると正常な思考なんて働かなくなる。悪あがきを繰り返した愚者がボロボロになった末に
辿りついた答えのような、ふてぶてしくも開き直った本音が頭を走った。
・・・そうだよな。これのどこが悪い。この子を抱いて何が悪い。
俺はこの子が欲しいだけだ。
誰かを欲しがる感情をとことん突き詰めていけば、どうせ互いの立場なんて関係がなくなる。
好きな女と身体を繋ぎ、我を忘れるほど貪りたい。俺がそうであるように、彼女にも俺に溺れてほしい。
俺が求めているのはそれだけのことだ。
ぞくぞくと背中を這いあがって全身に漲っていく渇望。その身体を焦がすような感覚に任せて衝き立てる。
抱きしめた真っ白な背中がぶるりと跳ねた。
「ッ――!あぁ、ああぁっ」
「あぁ、すっげぇ・・・っ。、いいんだろ、イけって、ほら、っっ」
「あぁんっ。せんせ、せんせぇっっ」
先だけがの中に残るように大きく引き抜く。掴んだ腰を引きずり降ろし、熱くうねる内壁をぐぶりと抉って強く突いた。
「っっ、あぁあああ――・・・っ!」
長い長い嬌声が響いて、俺を根元から締めつけて絞り上げるような長い長い絶頂がの身体に訪れる。
ぎゅっと腕にしがみついてくる華奢な手を奪って後ろから抱きしめ、ソファに押し倒して動けなくした。
達したせいでびくびくと痙攣している中の動きに逆らうようにして引き抜き、奥へ突き入れ、じゅぶじゅぶと水音を立てて熱い中を擦り上げる。
三度目の絶頂がまだ収まらなくてひどく感じきっているは、荒くなった俺の動きでソファの隅に押し込められている。
奥まで埋めてやるたびに甲高く啼いて、男に貫かれる衝撃にすっかり夢中になっている。
乱れた髪を張り付かせた横顔がこっちを向いた。焦点の合わない濡れた目を、ゆっくりと動かしてこっちへ向けて。
「あぁっ、せんせっっ。あっ、せ、先生っ、せんせっ、せんせ・・・っ!」
はぁっ、はぁっ、と短く喘ぎ続けている唇が、羞恥や甘えを孕んだせつなげな声で俺を呼ぶ。その艶めいた響きがたまらない。
瞳を淡く輝かせている濡れた表情には、少女のいたいけさと女の淫らさが同居している。はっとして視線を吸い込まれてしまうくらい綺麗だった。
ああ、無理だ、と息が上がった唇をきつく噛む。
もっとこの子の熱を上げてやってもう一度泣き乱れさせてみたかったのに、もうほんの言い訳程度にしか保ちそうにない。
「・・・っ。やっぱ、まだ、・・・やべーよなぁ、ナカ、は・・・っ!」
「ひ、〜〜〜・・・っっ!」
強烈に迫ってくる吐精感をこらえながら一気に押し込み、ずるり、と乱暴に引き抜いた。の声にならない悲鳴が上がる。
震える太腿にぐっと押し付け、暴発寸前だった熱をどぷりと吐き出す。汗ばんだ柔らかい肌を白濁で汚した。
荒げた呼吸を薄紅色に染まった耳に押し付けて、気だるさと充足感で満ちた身体をどさりと倒す。
背中から覆って抱きしめているうちに、お互いの呼吸や心臓の鼓動がゆっくりと同調しながら静まっていく。
身体のつながりを解いてもまだ繋がり合っているようなその感覚にまどろんでいく。そのまま二人で睡魔に負けて眠ってしまった。
「――ねえ、先生」
「んー」
ソファで眠ってしまったを寝室に運び、まるで皮膚のようにぴったり張り付いていた例の服を悪戦苦闘してどうにか脱がせ、
間に合わせに俺のTシャツを着せて二人でベッドに倒れ込んだ次の朝。
昨夜は男物のデカいTシャツを着ていたはずの女子高生は、俺が目を覚ました時にはいつものセーラー服にエプロンを重ねて台所に立っていた。
手早く作った朝食を俺より先に食べ終えた今は、午後からのピアノのレッスンに備えての予習中だ。ソファに腰掛けた脚の上には、
素人目にも難解そうな曲の楽譜が開かれている。女子高生の手作りオムレツやらサラダやらをぼーっと食い終わった俺が寝惚け眼で歯を磨きに行き、
どこまでが寝癖でどこまでが癖毛なのか本人すら不明な頭を適当に撫でつけ、寝室に戻っていつもの適当な服を適当に着替え、
居間に戻ってソファのすぐ横に腰を下ろしても、未来のピアニストは真剣な目つきを楽譜から離そうとしない。
左手の指先が五線の上をすうっとなぞり、仮想の鍵盤を軽やかに叩く右手は楽譜の上を躍っている。
「昨日の約束忘れてないよね。来月の最後の土曜日。絶対来てね」
「あー本選な。行く行く。厚化粧ババアの葬式とカブんねー限り行くから」
「カブるわけないじゃない。先生、理事長に失礼だよその言い草」
とにかく来てね、絶対ね。
もう一度念を押されたんで、ネクタイを結ぶ手を止めて頷いてみせたんだが。
・・・たいした集中力だ。念を押したは音符から目を逸らすことなく手を動かし続けている。
急遽、――ほんの数時間前の、急遽な決定事項だが、俺は来月ののコンクール本選を見届けることになってしまった。
いや、つーか大丈夫なのか、俺が行っても。行きつけの歯医者で患者をリラックスさせるために流しているクラシックのBGMでも
ぐーすか眠ってしまうこの俺が、そんな格調高い場でぐーすか昼寝をしていいものか。とてもじゃねーがの出番まで起きていられる自信がない。
とはいえこれがの最大譲歩の交換条件なんだから仕方がない。どうにかして起きているか、影武者を立てるか、瞼に油性ペンで目を描いておくしかないんだが。
――まあ事の発端はつまり、例のドレスだ。
俺がスカートをぞんざいに鷲掴みしたせいで皺が寄った新品の服は、皺さえ戻れば幸いにも新品の見た目を保っていた。
…が、スカートの裏地にはしっかり染みが出来ていた。ぎりぎりセーフで許してあげる、――という渋々な一言を
散々宥めすかして引き出すまでに、俺は夜明け前の貴重な睡眠時間を三十分も費やした。おかげで今朝は寝不足だ。
「な。その本選て何時くれーまでやってんの」
「夕方、かな」
「その後は。何か予定とかあんの」
「ううん。終わったら反省会して、帰るだけ」
「ふーん。じゃあそれ終わったら待ち合わせな」
「・・・・・・、」
「そのままどっか行かね。あの服で」
よれたネクタイをぐにぐにと捻り回しながら誘ってみる。は驚いたような目で俺に振り向く。
楽譜の上で躍っていたしなやかな指が、徐々に動きを遅くしていった。
「二人で?」
「そぉ。二人で飯食って二人でぶらぶらして二人で酒でも――、いや酒はナシな。未成年だもんなお前」
「・・・誰かに会ったらどうするの」
「会わねーだろ。あんな高級お洒落スポットで遊んでる奴、うちの学校にはいねーって」
コンクール会場は都心の有名コンサートホール。うちの学校関係者にはさっぱり縁のなさそうな、小洒落た街にある施設だ。
どこへ行っても生徒がうろついている地元と違って、人目を気にする必要はない。
「お前と会うっつっても、毎回ここで閉じ籠りっ放しだしな。いーんじゃねーの、たまには気晴らしってことで」
「――ほんとに?いいの?」
仮想鍵盤を叩いていた手が止まって、だらしなく下がっていた俺のネクタイをぐいと引っ張る。
楽譜が膝からずり落ちそうな勢いでは飛びついてきた。
ぱっちりと見開かれた目の輝きやほんのり赤い頬の色が、いつにない興奮ぶりを物語っている。
「行きたいお店があるの。レッスンの帰りに寄るカフェなんだけど、公園のイルミネーションが綺麗に見えるの!」
「へ、・・・いや、あぁ、そぉ。・・・イルミネーション、ねえ。お前そーいうの好きなんだ」
「好き!ねえ先生、行ってもいい?いいよね、ちょっとだけならいいでしょ?」
「いやいいけど。・・・んだよ、やけに乗り気じゃねーの」
「だってあのお店に行くたびに思ってたんだもん。もしここで先生が一緒だったら、どんなかんじかなぁって・・・」
「・・・・・・」
「そうだ、二人で行けるなら公園にも行ってみたいな。一度歩いてみたかったんだけど、夜は真っ暗だから一人じゃ入れなくて。あとはね、
カフェの裏にあるアンティークの雑貨屋さんが可愛いの。少し歩くと美味しいハンバーガーのお店があるの。すごく美味しいの、
一度先生にも食べてもらいたいって思ってたの・・・!ねえ、それでね、先生、」
「・・・・・・」
――それからそれから、それからね。
呆気にとられて黙りこくった俺をよそに、は嬉しそうに話し続けた。色づいた頬を両手で覆って、
夢見る乙女の瞳を輝かせて、午前七時半の晴れやかな青空が映る窓を見つめながらうっとりと。どうもこの子の頭の中では、コンクール後の
超過密デートスケジュールがすでに組み上がっていそうな勢いだ。
「いやいや夕方からだし、そこまでは時間的に無理じゃね」なんて水を差そうもんなら、目に見えてがっかりされそーじゃねーか、これ。
予想外な展開に目を見張る。あまりの予想外さに、滅多にやる気を見せない俺の寝惚け眼がいつのまにかはっきりと開眼していたくらいだ。
しばらく言葉を挟まずに黙っていると、の熱弁が急に途切れる。ぎこちなく首を巡らせて俺に振り向いた顔が、じわじわと赤さを増し始める。
キャラに合わないことをした、はしゃぎすぎてしまって恥ずかしい、…なんてことでも思っていそうだ。
ネクタイを鷲掴みにしていた手の力がふにゃりと緩んで、
「・・・・・やっぱりいい。・・・これじゃ先生がつまんないよね。どこも先生が行きたそうなところじゃないし」
「いや?いーんじゃねーのそれで」
「・・・、いいの?本当に?」
「ん。OKOK。その代わりっちゃーなんだけど、ひとつリクエストしていい」
「う、うん。なに?」
「その日な、昨日のあの靴履いてきてくれる。気に入ったから」
そう頼むと、きつめに閉じていた唇がわずかに揺れた。なんとなく嬉しそうに目を細めて、
「先生。ああいう靴、好きなの・・・?」
「あー。いいねハイヒール。好きだね」
が履くならハイヒールに限らず、何でも好きだけどな。まぁ要は、靴が、というより、それを履いてるが好きだってだけだ。
俺の目の前で鮮やかな変身を繰り返し、その時々で違う表情を見せてくれるの新しい一面を発見するのが好きだ。今までは見たくても見れなかったそういう瞬間に立ち会うたびに、
単なる教師と生徒でしかなかった俺たちの距離がいかに近くなったのかを実感出来る。そんな実感が連れてくるむず痒い幸せも含めて、
教室で会うだけでは見られないこの子の意外な一面を知っていくのが楽しいんだが――、
「あーいうの履いてくれると顔が近くなるからな。見下ろしただけでキス出来るって、最高」
にやりと細めた目つきにからかいの色を含めて答えれば、の頬がかあっと染まる。すぐに照れ臭そうに視線を逸らした。やがて俺の目を見上げて、
いいよ、履いてあげる、と拗ねたような目つきで頷いてきた。
「な。やって、これ」
掴まれっ放しのネクタイを視線で指す。結んで、と手を動かす仕草で頼むと、は照れ隠しに怒った表情のままで向きを変える。色白な膝を俺の膝へこつんとくっつけるようにして、身体をこっちへ寄せてきた。
シャツの衿元を温かい感触で掠めながら、慣れない手つきはしどろもどろに結び目を形作ろうと奮闘している。
喉元に触れるか触れないかのどっちつかずなくすぐったさに気を良くしながら、拙く動く華奢な手を取る。俺の好みに合っている
緩くていい加減な結び方を、セーラー服の女子高生にはそれ相応にふさわしい、軽く柔らかいキスを交えながら手解きした。