片恋方程式。 12
誰に頼まれたでもなかろーに、湿気と鬱陶しさをせっせと運んでいた梅雨前線も 江戸の上空から遥かに遠のき、季節はいつのまにやら夏へとさし迫り。 お天気お姉さんの笑顔満開な梅雨明け宣言ももうじきかと思われる、とある晴れた日の午後のこと。 真選組屯所のとある隊士の部屋には、なぜか並んで読書に勤しむとある三人の姿があった。 ここで顔を合わせたのが偶然とはいえ、揃った面子はなかなかに珍しい組み合わせである。 縁側に面した開けっ放しの障子戸から近い順に、足を骨折して療養中の一番隊隊長、沖田総悟。 かぶき町で「万事屋銀ちゃん」を営む、見た目怪しい銀髪の侍、坂田銀時。その万事屋に転がり込んだ夜兎族の家出娘、神楽。 何の因果で集まったのか、三人が三人とも他人の視線など塵ほどにも気にしない超マイペース人間ばかり。 それぞれが思い思いのぐーたらポーズで畳に転がり、それぞれが好き勝手にこの部屋の棚から持ち出した本を眺めているところだ。 一人は傍に松葉杖を転がし、包帯とギブスで固められた右足の膝を立て、口には溶けかかったオレンジ色の棒アイスを咥え。 もう一人は今にもヨダレを垂らしそうなだらけた顔で、小指で鼻をほじりながら。 またもう一人はここの厨房でせしめてきた山盛りの固焼き煎餅を、ガリボリと口一杯に頬張りながら読んでいる。 軒先で風に揺られた風鈴がちりん、と涼しげな音を鳴らす、呑気でまったりした雰囲気の中、ふあぁぁ、と沖田は 気だるそうな欠伸を吐いた。んんー、と腕を伸ばして背伸びする。 大きな薄茶色の瞳を涙に潤ませながら、棒アイスの残りをシャクシャクと齧り終え、棒をぽいっと縁側に投げ捨て。 読んでいた「ワンピース ◎☆巻」をぱたりと横に放り、隣の男に尋ねた。 「まだですかィ旦那ァ。早くそっちの新刊貸してくだせェ」 「いや俺まだ読んでねーし。エースの最後まだ見てねーし」 横目に睨んでくる沖田の視線などどこ吹く風、腹をポリポリと掻きながら銀時が面倒そうに答える。 ならば実力行使で、と、沖田は隣に腕を伸ばしたのだが。ゴロンと横向きに転がった銀時にすげなく拒否された。 「いーじゃねーですか見なくても。あんたァとっくの昔にジャンプで読んでるんでしょう」 「あー読んだね。一回どころか十回、いや二十回は読んだね」 「だったら貸してくだせェ。俺ァワンピースはコミックス派なんでェ。エースの最後はまだ見てねーんでェ」 「いやいやいや、今白ひげの親父が死にかけてんだよここからがいいとこなんだよ話しかけんじゃねーよ。 …あ、そーだ。沖田くんさー、あれ見てろよ。さっき見舞いにジャンプやったじゃん、あれ見てろって」 「旦那ァ。ラーメンの汁こぼした先週号のジャンプを見舞いとは言いやせんぜ」 どっちかっつーと「資源ゴミ」でさァ。 と、醒めきった半目顔で沖田が差し出したのは、表紙の中央に大きく茶色のシミがついた少年ジャンプ。 いつ染み込んだ汚れなのかはわからないが、こぼしたラーメンはおそらくこってり気味の醤油味あたりだったのだろう。 表紙をアップで飾る人気キャラ「NARUTO」の元気ハツラツな笑顔は、こってりガングロ風にテカっていた。 すると、フッ、と妙に余裕ありげでわざとらしい半笑いを浮かべて銀時は言った。 「わかってねーなぁ、見舞いってーのは金額じゃねーんだって。持ってきた奴の思いやりとか心意気だろォ? つーかジャンプに謝れよ、失礼だろ。いくら先週号とはいえ、天下の少年ジャンプにケチつける気ですかこのヤロー」 「旦那。天下の少年ジャンプにここまでべったべたにシミつけといて言うことじゃねーですぜ。つーかあんたがジャンプに謝りなせェ」 「あのよー、まだひよっ子の沖田くんにはわかんねーかもしれねーけどよー、贈り物だ見舞いだのってやつは 金額が問題じゃねーんだよ。どんな品でも心がこもってりゃーいいんだよ。受け取る奴は贈る奴の心意気を大事にするもんなの。 あれだよほら、お中元商品のCMでも言ってんだろ?真心をこめた贈り物、とか、あなたの心を届けます、とかよー」 「へー、そーいうもんですかィ。じゃあぜひ俺にもその心意気ってやつを見せてもらいやしょーか。おいチャイナ」 しかし呼ばれた神楽は、顔にひっつきそうな位置で開いたライトノベルに完全集中している。 名門お嬢様学校へ編入してきた美貌の転入生が実は男で、家庭の事情により女として学校生活を送ることになった彼と 美少女たちが巻き起こす学園ラブコメ、・・・という、実に
「 片恋方程式。12 」 text by riliri Caramelization 2010/07/06/ ----------------------------------------------------------------------------------------- 原作に一番接近する部分に突入 今からブルブルおびえてます… ここは柳生編直後の話と思って読んでやってください nextありがちな王道な少年少女向けの小説だ。 数年前に出版されたロングセラー作品でもあるこの小説。タイトルを「観音さまがみてる」という。 「フン、小娘どもの恋愛なんて大人の女の神楽さまには物足りないアル」と半分バカにしながら読み始めたのだが、 ところがこれが読み始めたらなかなかどうして面白くって、やめられない止まらない。 山盛りの煎餅を黙々とたいらげながらも、神楽はすでにこの本を半分以上読破していたのだが、…話の山場で邪魔が入った。 どことなく殺気走った目を沖田に目を向けることもなく、ボソっと低く、すこぶる機嫌悪く吐き捨てる。 「うっさい気安く呼ぶなクソガキ。今すっごくいいところネ。校舎裏でちゅーするかどうかの瀬戸際ネ!」 「そんなもん後にしろィ。おいお前、人の足がっつり折りやがったくせに見舞いの一つもねーってどーいうこってェ」 「フン、誰がお前なんか見舞うか、私はに会いに来ただけアル。だいたい私は何も悪くないネ。 一度蹴られただけでボッキリ折れるお前の根性なしな骨が悪いネ。一生足首ブラブラさせてろ、骨無し負け犬侍が」 「なら夕方まで帰らねーぜ。姫ィさんは今日非番なんでェ。鍛冶屋に出した俺の刀を受け取りに行ってらァ」 「お前に言われなくてもさっきゴリに聞いたから知ってるネ。だから私たち、が戻るまでここで時間潰してるネ。 読み終わったらさっさと出てけドS。お前の吸った空気吸うと私の肺が腐るアル。死ねこの大気汚染野郎」 「いーですぜ出てっても。ただしお前が見舞い代りにコレを声出して読んだら、でェ。それ聞いたらさっさと出てってやらァ」 ジャンプを神楽に向かって放り投げた沖田は「235ページからな」と、早速ページ数を指定してきた。 くりっとした大きな目をきょとんと見開き、神楽が腑に落ちない顔でジャンプを読み始める。 「――あはん 真中殿 電気を消してくだされ そんな西野の言葉も無視して 真中はおもむろに西野にまたがり獣の如」 ガバッ、と凄まじく焦った顔の銀時が飛び起き、ジャンプを神楽の手から弾き飛ばす。 びゅん、と一直線に飛んだジャンプは沖田の顔面に見事命中。しかし、命中させられた当人はそれでもいたく御満悦らしい。 ニヤニヤと顔をほころばせて頭の後ろに腕を組み、動揺しまくって意味なく腕を振り回す銀時の姿を楽しそうに見物している。 神楽は神楽で銀時に振り払われたのが不満らしく、目を丸くして「何するネ銀ちゃん!」と食ってかかり、 起き上がってジャンプを拾いに行こうとする。真紅のチャイナ服の衿をむぎゅっと掴み、慌てて銀時は引き止めた。 「ああああ!いい!もういいって!早い!お前にはまだ早いからああァ!!」 「ダメアル。怪我人には安静が必要ネ。えっちいマンガは刺激的すぎヨ、怪我にひびくネ。 怪我が治って早く元気になるよーに、これは私が読んでやったほうがいーネ!」 「いい!読まなくていい!!お前が読むとこいつが違う意味で元気になっちゃうからあぁ!!!」 「ひでぇーなァ旦那ァ。俺ァこんな乳臭せーガキの声にムラっとするほど飢えちゃいやせんぜ。 だがまあ仕方ねーや、そいつはやめときましょう。おいチャイナ、次はこっち読め」 ニヤつく沖田に次の本を渡され、またもや神楽は素直にスラスラと読み始める。 「――ぴよこ 「お兄ちゃんなら・・・・・・いいよ(はぁと)」 頬を赤らめたぴよこに頷き、僕は彼女のセーラー服を脱がしていく。 僕 「ぴよこっ、ぴよこぉ!!」 ぴよこ 「あぁんっ、お兄ちゃぁあん――らいしゅきぃい(はぁと×3)」 「神楽っっっちゃ――んんんんん!!?」 「・・・。真っ昼間からぁにやってんだてめーらは」 顔をムンクの「叫び」風にした銀時の絶叫が響いたところで、別の男が障子戸越しに姿を見せた。 氷点下0度まで凍てついた軽蔑の目で三人を眺め下ろしている、咥え煙草の男。副長の土方十四郎だ。 沖田ほどの重症こそ負っていない彼だが、顔を包帯でグルグル巻かれたミイラ男状態から脱したのはつい数日前のこと。 前髪に隠された額の生え際や右頬には、今も大きな絆創膏が貼られたままだ。 上着を脱ぎ、シャツの袖を腕まくりした隊服姿で現れた彼は、片手にはペン、もう一方の手には書類を数枚持っている。 呆れ顔で部屋に進み入ると、まずは神楽が読み上げた本を奪い取り。それから笑う沖田に振り返り、じろりと睨んだ。 「総悟。いくら暇だからってこんなガキに何やらせてんだコラ。猥褻罪で逮捕されてーのか」 「ああ土方さん。あんたもどーです、このラノベ。結構面白いですぜ」 「いらねえ。ったくお前は、毎日毎日の部屋に入り浸りやがって。そんなに暇なら俺の部屋に来い、書類整理を手伝え」 「いやでさァ。今日は身体がだるいっつーか、どーも調子が悪いんでェ」 「フン、嘘つけ。足以外はどっからどう見てもピンピンしてんじゃねーか」 「いやぁ、朴念仁のあんたにはわからねーでしょーが。実は俺、今日はあの日なんでさァ」 「あの日ってどの日だ。お前の命日なら俺が決めてやるぞ」 「いやぁ、そこまでのご心配は無用ですぜ。あんたの命日の方が俺より先に決まってらァ。つーか死ね土方」 沖田はポテチの袋をべりっと開けてポリポリ齧りながら、しれっとした顔でほざく。 それを聞いてこめかみをびきっと引きつらせた土方が、握り合わせた拳の関節をベキボキと大きく鳴らし始める。 「そーかそんなに殴られてーか。よーしわかった、さっそく歯ぁ食い縛れ」 「そーネ怪我人は殴られて大人しくくたばってろ。そのポテチは私が責任を持って始末してやるアル!」 「おい、何を他人事みてーに言ってんだ?お前もさっさとここから出てけ」 「いやヨ。何で私がお前に指図されなきゃいけないアルか」 「当然だ、てめーら一般人だろーが。警察の官舎ってのはなあ、関係者以外立入禁止が原則だ。 がてめーに甘めーから今まで見逃してきたが、屯所は元来ガキの遊び場じゃねーんだぞ。勝手に入ってくんじゃねえ」 「勝手に入ってないアル。今日はちゃんと許可貰ったネ。文句ならお前らの総大将に言うネ!」 「・・・?近藤さんだァ?」 「そーネ。あのゴリ、銀ちゃんが賄賂でアネゴの写真くれてやったら一秒で折れたアル。まったくとんでもない汚職警官ヨ」 「・・・!」 いかにも食えなさそーな面をしたキャバ嬢が澄まして微笑む写真を、神楽は得意げにピラピラと振ってみせる。 絶句して頭を抑えた土方は、どんよりと重い溜め息をついた。 門前警備の平隊士ならともかくとしても、だ。・・・まさか大将自ら買収されちまうとは。 落ち込む彼の様子に気をよくした神楽は、へへーん、と憎たらしい顔で舌を出し、 目尻を思いきり引っ張った「あっかんべー」まで披露してみせる。 「は私にいつでも遊びにおいでって言ってるヨ。ゴリの許しが出たらここにお泊りしてもいいって言ってくれたアル。 一緒にお風呂に入って一緒の布団で寝るアルヨ!ポヨポヨおっぱい一人占めヨ!どーだうらやましいアルかチンカス男ども、 神楽さまはお前らの百倍に愛されてるネ!」 「だァァァァ!!ピイピイピイピイ、煩っっっっせーんだよお前はあァ!!」 とまあ、感情剥き出しで怒鳴りつけるあたりからも判るように、神楽の相手は渋々ながらもしてやっているのだが。 土方が相手にするのはあくまでも神楽だけ。 銀時のことはどこまでも、出来るものなら地の果てまでも、ひたすら頑固に無視で決め込みたいらしい。 さらに銀時も銀時で、土方から透明人間のよーな、誰もいないかのような扱いを受けているのに 気にするどころか平然としたもの。目の前でがみがみ怒鳴っている男の姿など目の端にも入れていないような 堂々とした大きな態度で、鼻なんかほじりながらマンガを読み耽っている。 口を聞くどころではない冷戦状態。 だが、こんなあからさまな無視の理由が互いに同じであることは、言うまでもなく判っている。 お互いの存在が気に食わない。いや、気に食わない奴がここに居ることを、お互いに認めたくないのだ。 顔見知りとなってからは子供じみた意地の張り合いで、また、最近ではを巡って、 顔を見るたびに火花を散らしているいけすかない男が、こうして何食わぬ顔での部屋に踏み入っている。 これが面白くないはずがない。 特に――銀時に勘付かれては悔しいので態度に出してはいないが、彼よりも後にこの部屋に来た土方のムカつきといったらなかった。 ほんの些細な――明日訂正しても間に会う程度の書類の不備を口実に、休憩がてらにちょっとだけの顔を見に来てみれば、 そこにいたのは生意気なガキ二人と、さらにはトドメの天敵・万事屋のバカ侍。 しかも奴は、直属上司の自分だって長々とは居座ったことのないこの部屋で、ごろ寝までしてくつろいでいやがるのだ。 ぁんだこいつ。すっかりてめーの縄張り面しやがって。ちっ、面白くねぇ。 ・・・というような訳で。彼が銀時に対して不自然な無視を決め込むのに、それ以上の理由などひとつも要らないのだった。 一方、銀時の土方完全無視の理由もやはり土方のそれと似通った理由なので、 読む気もなさそうにマンガの頁を捲りながらも、姿を現した煙草臭い男のことが心底ムカついていたりする。 だから土方が部屋の中を見回し、沖田に不満げな声で「はどこ行った」と尋ねた時は、 はっ、と思わず鼻先で笑い飛ばしてしまった。 「ぁあ!?何笑ってんだ。あいつがどこにいるか知ってんのか、てめえ」 「はあぁ!?知らねーって。つーか何、いきなり声掛けないでくれる、気分悪りぃから」 気分が悪りーのはこっちだ、と、煙草の先からも頭からもプスプスと煙を噴き上げ怒る男を尻目に、 銀時はマンガを広げて顔を隠す。その下でにやーっと表情を崩した。 バーカ、行き先がわかってんならんなとこに来るかよ。ハナからそっちに直行するっつーの。 マンガの下ではへらへらと嘲笑いながら、頭の硬いこの男がいかにもムカつきそうな、ふざけた口調で悪態をついた。 「まーアレだわ。もし知ってたってよー、てめーだけにはぜっっってー教えてやらねーけどォ?」 「そーネ、マヨは態度デカすぎネ。それが人に物を尋ねる態度アルか。の居場所を知りたいなら庭で土下座しろチンピラ警官」 「そーでェ、どーしても聞きてーなら庭に土下座してから裸で町内一周してこいや土方ァ。 あ、そーだ。町内一周ついでにコンビニでアイス買ってきてくだせェ」 「俺はいちご牛乳な。よろしくー」 「しょーがないネ。酢昆布5個で許してやるアル」 「ふざっっっけんなァァァ!っっのドSトリオがあああァ!!!」 ばしっ、と畳に書類を叩きつけ、眉間に皺寄せ怒鳴り倒している男を本の影からちらりと覗き、 銀時は皮肉げな薄笑いで目を逸らす。それからは土方に何を言われても耳を貸さず、寝たふりをして無視を通した。 最後には土方もむっとして押し黙り、落ちていたジャンプを腹いせに蹴り飛ばしての部屋を出ていった。 その気配を察した銀時は、伏せたマンガの影から目だけを覗かせる。怒りで強張った背中をとぼけた目つきで見送った。 「・・・おいおいィ。ここじゃ上官が休みの日まで部下の顔見に来んのかよ。最悪じゃね?・・・けっ、」 相変わらず気ィもたせるよーな真似ばっかしやがって。 ポテチを奪い合ってギャアギャアと騒いでいる沖田と神楽を横目に、ちぇっ、と口を尖らせた子供っぽい顔で舌打ちする。 けっ、つまんねー。あーあ、来るんじゃなかった。 最近万事屋に顔を見せなかったのことが気になって、沖田の見舞いにかこつけて会いに来てみたのだが 会った奴といえば生意気なガキ、むさ苦しいゴリ、胸クソの悪いツラしたニコ中。 もしこのままに会えなければ、完全に無駄足である。いや、これだけ気分の悪い思いをさせられたのだから、 これではむしろわざわざ損をしに来たようなものだ。冗談じゃねえ。元が取れねーのは昨日のパチンコだけで充分だ。 決めた、今日の晩メシはここでたかってやろう。 そう思いながら元気にポテチ争奪戦を繰り広げるガキどもに背を向け、腕枕でぼーっと目の前の庭を眺め。 ちりん、ちりん、と真上で奏でられている涼しげな音に気付く。軒先で微風に揺らぐ、青いガラスの風鈴を見上げた。 これもあの子が吊るしたのかねェ。そんな風に思いながら眺めると、 ただの風鈴の音色のはずが、なぜか格別に耳に響いてくる。ふっ、と嬉しげに和らいだ笑みが口の端をついてこぼれた。 あーあー、なんだかなぁ。これだから恋ってーのは不思議なもんだ。 ふあぁぁああぁあぁ。 大きく伸びをして大の字になった銀時は、黙っていても全身から滲み出す彼独特のぐーたらさが 庭にまで伝染しそうな大欠伸をついた。 「あーあーあァ。どこ行っちゃったのかねーあの子はぁ。・・・早く帰ってこねーかなー、」