かぶき町は夜の街。朝日が昇るまで眠らない街。
終電もとっくに出てしまったこんな遅い時間でも、深夜営業のお店ばかりなこの街ではうるさいくらいに通りはにぎやか。 けばけばしい色合いの電飾や看板に照らされて、街中が七色に輝いてる。 その華やかさに吸い寄せられるみたいに、たくさんの人が集まってくる街。 そんなこの街で、今夜いちばん盛り上がっているお店は――、
――それはたぶん、階下のお登勢さんのお店じゃないのかな。
夕方から万事屋で呑んでいたみんなが二次会に場を移したのは、時計が十二時を回った頃。 夜が更けてもお祭り騒ぎが続いてる一階では、カラオケの伴奏と歌声が鳴りやまない。 酔いが回って羽目を外しまくっている銀ちゃんたちの声は、万事屋に残ったあたしの耳にも届いてる。 みんなすっかり出来上がってるおかげで、どの人も声が大きくって騒々しい。 お店の常連さんたちにとっては、ちょっとはた迷惑な集団かもしれないんだけど――


「・・・何話してるんだろ・・・」

――あんなに楽しそうに声を弾ませて、がやがや、わいわい、ざわざわざわ。
ようやく片付けが終わった居間のテーブルを拭きながら聞いていたら、なんだかうらやましくなってきた。 いいな、あたしも混ざりたかった。残念なことにお酒は飲めない。でも、あの楽しそうな雰囲気だけでもいっしょに味わえたらよかったのに。
拭き終わったテーブルを離れて、襖戸が開けっ放しの和室に入る。物干し場に面した大きな窓を開けてみる。
からから、と軽い音を立てて窓枠を滑らせた途端に夜風が流れ込んできた。衿元を微かにそよがせる、湿り気を帯びた冷たさが気持ちいい。 ふわりとやわらかく鼻先をくすぐる、ほのかで甘い花の匂い。 公園やご近所で咲き始めてる、金木犀の香りかな。昼間は夏が戻ってきたような暑さだったけど、夜の空気はもうすっかり秋の匂いだ。 すぅ――っ、って深ーく呼吸してから、お隣さんちとの間に開けた空を見上げた。
・・・かぶき町の夜のまぶしさを反射させてるからかな。ここから見上げる狭い夜空は、いつもぼんやりした薄闇色。
住めば都っていうけれど、引っ越したころはなじめなかったこの明るさにも今ではすっかり慣れてしまった。 はぁー、と長めに息を吐くと、真っ白な煙みたいにゆらりゆらりと昇っていく。 呂律があまり回ってない、ちょっと喧嘩腰なおじさんたちの声が表通りを過ぎていく。 ぽ――…っと響く霞んだ汽笛みたいな音が、遠いどこかで鳴っている。肌寒くなるとこの界隈で商売を始める、屋台のラーメン屋さんの音。
もうじき寒くなりそう。冬用の上着やお布団、そろそろ用意しないと。
銀ちゃんの半纏は箪笥の奥に入ってる。神楽ちゃんの真っ赤なコートは、押入れの中。それからあたしのコートと、ええと――
そのうち必要になるはずの冬支度を頭の中でとりとめなく数えながら、かじかんできた両手を口許に当てて温めた。 ちょっとだけ休憩するつもりで窓辺に腰を下ろそうとしたら、次の曲に切り替わったカラオケの前奏が始まって。

耳に飛び込んできたのは――聞いたことがない演歌調の曲を熱唱する凛とした声。
これは桂さんの声だよね。
サビのところにコーラスを入れてくる、酔いが回って音程がめちゃくちゃ外れてる歌声、・・・これは長谷川さん、かな。
やたらと正確にリズムを刻むタンバリンの伴奏は、いつも桂さんが連れてくる、真っ白な着ぐるみ被ったあの人かも。それから――
「あーあーうぜー曲選びやがって、歌声までうぜーよなぁこいつ」って桂さんに文句をつける銀ちゃんの声。
「そうよ退きなさいよ銀さんと私がデュエットするんだから!」って甲高く叫ぶさっちゃんさんに、 「よさんか猿飛」って呆れて止めに入る月詠さんの声。 「たまー、ビールもう1ケース持ってきてくれるかい」低いけれどよく通る、お登勢さんの枯れた声。 そこに、ぎゃはははは、と高笑いするキャサリンさんの声が重なる。桂さんの歌が終わって演奏が止むと、
「――で、では・・・僕からも、一言」
マイクを通した九兵衛さんの声は、遠慮がちで恥ずかしそう。「九ちゃん、頑張ってー」とお妙さんの励ましの声が響いて、ひゅーひゅー、と冷やかしの口笛が鳴って、

「――す、すまない銀時、急だったもので祝辞もお祝いの品も用意できなかった。その、上手く言えないが、・・・このようなおめでたい席にお招きいただき」
「いいのよ九ちゃんお祝いなんて。どうせ相手は銀さんだもの、そんなにかしこまらなくていいの」
「どうせって何だよどうせってよー。このめでてー日にケチつけやがって、そんなんだからおめーは嫁に行けね・・・っっでででで!」

失礼な発言にムッとしたお妙さんに、何かお仕置きされたんだろう。
痛みにもがいてるような銀ちゃんの悲鳴が突き抜けて、

「それではみなさん、九ちゃんに代わって私が音頭を取らせていただきますね。――銀さんおめでとうございまぁす、乾杯ー!」

朗らかに広がるお妙さんの声に続いて、これで今日何度目なのか忘れてしまったくらい繰り返された祝杯の声が上がる。 何を言ったのかは判らなかったけど――そこへお登勢さんが辛辣な口調で言葉を挟んで、どっと場が湧く。 そう広くないお店を埋めたお客さんたちの、店中の空気を揺らすような笑い声が重なり合う。
盛り上がってるなぁ、って耳を傾けながら嬉しさに微笑む。
「揃いも揃ってどいつもこいつも、騒々しい馬鹿しかいやがらねえ」
なんて、照れ屋で天の邪鬼な銀ちゃんは言う。だけど、銀ちゃんを取り巻くこの騒々しさがあたしは好き。
――お祝いに駆けつけたみんなに囲まれて、おめでとう、って口々に言われて。 だけど素直に「ありがとう」なんて言えるような柄でもないから、微妙にそわそわしているひねくれ者。 そんな銀ちゃんをたくさん見れた今日は、すごく、特別に嬉しい日だった。
よかったね銀ちゃん。みんな来てくれて、嬉しいね。
お店から漏れたオレンジ色の明かりに薄く照らされた軒下を見つめながら、心の中で話しかける。すると、がら、と戸を引く音がして。



「――にぎやかですねぇ、下。こんな時間になっても元気だなぁあの人たち」

声を掛けられて振り向けば、和室に入ってきた新八くんが。
眼鏡越しに笑いかけてくる男の子は、優しそうな印象こそ変わらないけど、もうじき「男の子」とは呼べなくなりそうなくらい成長してる。 この二年くらいで逞しくなった腕には、空になったビール瓶が詰まったビールケースと、空き缶入りの大きなごみ袋が抱えられてた。足元にどさりとそれを下ろして、

さん、台所の片付け終わりましたよ。後はゴミ出しだけです」
「ありがとね、お疲れさまー。ごめんね、ぜんぶ任せちゃって」
「何てことないですよこのくらい、姉上にも手伝ってもらいましたしね。さあ、後は僕に任せて休んでください」

ほら、もうこんな時間ですよ。
そう言って、箪笥の上にちょこんと置かれた変なかたちの目覚まし時計を指してみせた。

「お登勢さんが言ってたんです。さんは昼から宴会の準備で働き詰めだから、早く休ませろって」
「このくらいなら平気だよ、今日はみんなに手伝ってもらったし。・・・それにね、銀ちゃんが。放っておくと玄関で寝ちゃうでしょ」
「大丈夫ですよ一晩くらい放っておいても。人並み外れて頑丈ですから、あの人は」
「うん、そうなんだけどね。放っておくと明日拗ねられるし」
「んにゅ・・・ぅうぅぅ・・・・・・・・・ちょっとぉぉぉ、ずるいヨ、銀ちゃぁあん。・・・返すネそれぇぇ・・・」

会話に割って入ったのは、むにゃむにゃと眠そうな声だ。お母さんに甘えて拗ねる子供みたいな、かわいらしい寝言。 新八くんときょとんと顔を見合わせる。二人そろってくすりと笑って、部屋の真ん中に敷かれた布団に目を向けた。

長い手足を奔放に投げ出してくーくー寝息を立てているのは、お腹いっぱいになった途端に眠ってしまった神楽ちゃん。
最近急に背が伸びて女の子らしい丸みを帯びてきた身体が、まっしろな二の腕や太腿をばたばたばたばた振り回す。 深いスリットが入ったチャイナドレスの裾がひらひら踊る。ぅにゅうううぅ…って口を尖らせて唸りながら眉を悔しそうに歪めて、

「それぇ、私のフライドチキン・・・ヨ。・・・・・・なにが、俺の、たんじょぅび、ネ。三十路の、おっさんの、たんじょ、び、・・・て、ど・・・でもい・・・ネ。 いくつに、なっ・・・も、成長しな・・・マダぉ・・・・・・は、骨でも、しゃぶってたら、いいアりゅぅぅ・・・・・・」

うぐぐぐぐ…って恨めしげに唸る声が、ぷるぷるでやわらかそうな唇から漏れる。 その唇にさっき食べたケーキの生クリームがついたまま、…ってところは、見た目が大人びても中身は相変わらず無邪気な神楽ちゃんらしい。
あはは、と小声で笑った新八くんが枕許に膝をつく。「フライドチキンて」と可笑しそうにつぶやいて、

「どんな夢見てるんですかねえ。あんなに食べたのにまだ食べ足りなかったのかなぁ」
「そうみたい。夢の中でも銀ちゃんとごはん取り合ってるのかもね」
「さっきもすごい騒ぎでしたもんね。九兵衛さんが差し入れてくれたお寿司に夢中になってる間に、銀さんにケーキ横取りされちゃって」
「銀ちゃんたら大人げないよね。いくら自分の誕生日だからって、人のケーキまで食べちゃうんだもん」

可愛い寝顔に目を細めながら、枕元にそそっと近寄る。音を立てないように、慎重に腰を下ろした。
――そーっと、そーっと。起こさないように気をつけながら、やわらかいピンク色の髪を掻き上げる。 大胆な寝相のせいで布団の端まで押しやられてた枕を、くったりと垂れた頭を持ち上げて、さらさら流れる髪の下へ差し入れる。 枕を入れた途端に神楽ちゃんがころんと横を向いて、寝息がゆっくりと、すこしずつ、深く穏やかになっていく。 むにむにと何かをつぶやいてた唇の端がふっと緩む。透明なしずくが桃色のほっぺたにつーっと垂れた。
なんだか赤ちゃんの寝顔みたい。くすくす笑いながらハンカチを出して、生クリームごと拭き取ってあげた。

「・・・すっかり大人っぽくなったけど、寝顔と寝相は変わらないなぁ・・・」

きもちよさそうな寝顔を眺めながら、新八くんがしみじみとつぶやく。
やんちゃな子供に気苦労が絶えないお父さんみたいな、どこかほのぼのした実感が籠ったつぶやきだ。 ちょっと可笑しくなってしまって、そそそ、と音を立てずに後ろに下がる。こっそりと笑いを噛み殺した。
――人って周りのことには気づいても、自分のことにはなかなか気づけないものなのかも。
そんなふうに言ってる新八くんだって、見違えるくらいに大人になった。とっくに成長が止まったあたしから見れば、まぶしいくらいに毎日成長してるんだけどな。
眠る神楽ちゃんを眺めて微笑む新八くんの表情は、今も昔も変わらずにやさしい。銀ちゃんの後をあたふたしながら追いかけてた、 真面目そうでどこか頼りないかんじの男の子の面影が、この表情には残ってる。これは銀ちゃんも感じてることなのかもしれないけど、
――こんな懐かしくて可愛い面影を見つけて、その懐かしさを勝手に嬉しがっていられるのは、あとどれくらいの間なのかな。
新八くんだけの話じゃない。神楽ちゃんだって、毎日めきめき成長してるもんね。 この勢いで伸び続けたら、銀ちゃんの身長なんてあっというまに追い抜いちゃいそうだよ。

「・・・・・・抜かれちゃったら悔しがるだろうなぁ、銀ちゃん」
「え?銀さんがどうかしたんですか」
「ううん、なんでもないの。あぁ、下に行ったら銀ちゃんに伝えてくれる?玄関で寝ちゃだめだよって」
「はい、どうせべろべろに酔っぱらってるだろうから口酸っぱく言い聞かせておきますよ」

そう遠くないはずの未来を簡単に想像できてしまうくらいに頼もしくなった姿が、枕元から立ち上がる。
「じゃあ僕も下に行きますね」って、少し広くなった背中をこっちに向けて、部屋を出て行こうとしたんだけど――。

「――ああ、そうだ。さん、何か食べる物持ってきましょうか。今日はお料理作ってばかりで、ほとんど食べてないでしょう」

心配そうに尋ねられて、自然と顔がほころんだ。
見た目は変わった新八くんだけど、こういう細やかな気遣いはちっとも変わらない。

「ありがとう、でも大丈夫だよ。そんなにお腹減ってないから」
「そんなこと言わずに、少しでいいから食べてくださいよ。ああそうだ、ケーキが残ってますよ。一切れだけですけどね」

持ってきますね、と新八くんはいそいそと部屋を出ていってしまった。
「いいよ、自分で取りに行くから」そう声を掛ける前にすーっと締まった襖戸を眺めて、なんだかくすぐったいような、ふわふわした嬉しさに包まれた。 ――大丈夫だって言ってるのに。それでも新八くんには、あたしが彼に気を使って断ったように見えたのかもしれない。そうじゃないんだけどな。ああ、でも、
こういうおめでたい日だから、――なのかな。 何かにつけては見せてくれる新八くんらしい心遣いが、今日は特別なものに見えてくる。 胸の中があったかくなるようなやわらかい気持ちを味わいながら、心の中で話しかけた。
よかったね。嬉しいね。
話しかけたら、嬉しさはもっと大きく膨らんでいく気がした。それからゆっくり立ち上がって、押入れに向かう。
神楽ちゃんの背中が丸くなってる。窓からの夜風が寒かったのかな。さっきは大の字で眠ってた女の子が、今はきゅうっと身体を小さく丸めてる。 毛布毛布、とつぶやきながら、最初にぱっと目に入ったものに手を伸ばした。 使い古しの銀ちゃんの毛布だ。押入れの一番上に積まれたそれは、背伸びしないと届きそうにない高さに収まってる。 ぎっしり積め込まれた寝具のてっぺんに手を伸ばす。
ああ、惜しい。あとすこし、指先ぶんだけ足りない。
もうすこしで届くのに。ひょこん、と爪先立ちで背伸びをしたら、


「――ちょっっ。・・・・・・あーあーもぉ、何やってんだぁ」

がらっ、と襖戸が横に引かれて、――だけど、入ってきたのは新八くんじゃなかった。
黒いズボンを穿いた裸足の足が、爪先を使って行儀悪く襖戸を押し開ける。 目つきがとろんと眠そうに蕩けた赤い顔が呆れきった表情であたしを見て、くーくー寝息を立てる神楽ちゃんを眺めた。
いつのまに戻ってきたんだろ。足で器用に戸を閉めながら「あーあーあー」を繰り返す銀ちゃんの手には、ケーキが乗った白いお皿。それから、銀色の小さいフォークが。

「おかえり銀ちゃん。どうしたの、まだみんな呑んでるんでしょ」
「あーはいはいただいま、・・・じゃねーだろぉ。んだよお前ぇ、何やってんの」
「え、毛布出そうと思って」
「いやだからぁ言ったじゃん、そーいうこたぁ誰かに頼めってよー」

どたばたと急いで部屋へ入ってきた銀ちゃんが、持って、とお皿とフォークを渡す。 あたしの身長じゃどうやっても届かない一番上へひょいと手を伸ばすと、毛布をそこから下ろしてくれた。 寒そうに手足を縮めてる神楽ちゃんのほうへ向かったから、あたしも後をついていくと、

さぁ、一人でこーいうことすんなって。言っただろぉ、しばらく高けーとこのもん取るの禁止だってよー」
「高くないよ押入れだもん。平気だよこのくらい」
「いやダメだって。ぜんぜん平気じゃねーって。何を根拠に平気だとか言っちゃってんのお前。いやいや油断しすぎだろぉ、 ちょっとした背伸びが大怪我に繋がるかもしんねーだろぉ?」

くるっ、と唐突に振り返った銀ちゃんに、ずずいっと顔を寄せられた。
・・・うわぁ、お酒くさい。お祝いにかこつけていったいどれだけ呑んだのか、銀ちゃんの全身からはめまいがするほどお酒の匂いが。 ふわふわ跳ねてる白い前髪から覗く半目が、飲み過ぎたせいでいつにも増してどんよりしてるし。
「だいたいよー、ちょっとした背伸びで大怪我すんのが許されるのは10代までだからね。 いただろークラスに、憧れのモデル風にイメチェンしたけど似合ってなくて教室を気まずい困惑に陥らせる子とかー、 不良どもが出てくる映画テレビで放映した次の日にー、映画の主要キャラになりきった悪ぶった発言して周囲を苦笑いさせる奴とかー・・・っておーい、聞いてるちゃーん」
いや聞いてないけど。聞く気ないし意味わかんないし、100%酔っ払いの与太話だし。
・・・なんて言わない。ここで正直に言い返したら、銀ちゃんしつこく絡んでくるから。 「はいはい聞いてる聞いてる」って、醒めきった顔で受け流したら、

「な、わかった?これからは家の中だろーと気ぃつけろよ、どんな場所でも万が一ってもんがあんだからよー」
「ないない、そんなのありえないから。銀ちゃん心配しすぎ。あと、お酒臭いから近づかないで」
「いやいやあるって、よくあるじゃん」
「ないってば、・・・じゃなくて人の話聞こーよ銀ちゃん」
「よくあるだろぉ、たまたま落ちてたバナナの皮で滑って転ぶとかー、たまたま通学中に急いで角曲がったら、 たまたま向こうからパン咥えて走ってきた転校生の美少女と正面衝突するとかぁぁ」
「どこでよくあるの、そんな奇跡のたまたま遭遇・・・じゃなくてやめて、こっち来るな」

フォークの先をどんより濁った半目に向けて、こっち向かないで、って威嚇する。 銀ちゃんはまだ何か言いたそうに唇を尖らせてたけど、振り向こうとするたびに肩でぐいぐい押し返した。 布団の横に並んでしゃがむ。銀ちゃんが毛布をぱっと広げて、神楽ちゃんの身体にふんわり落とす。肩まで覆ってあげながら、 「ははっ、よだれ」ってぼそっとつぶやいて、おかしそうに目元を細めた。ふっくらまぁるい桃色のほっぺたをつんつんしながら、
「身体は一丁前に育ってんのによー。寝顔と寝相はガキの頃のまんまだよなー、こいつ」
・・・居た、ここにもう一人のお父さんが。銀ちゃんてば、新八くんと同じこと言ってる。
あらためて銀ちゃんを眺めてみると、神楽ちゃんを眺める目つきも新八くんとそっくりだ。 おかしくて口を押えて笑っていたら、白い着物が捲れた肘にこんこんと腕をつつかれた。

「つーかお前あれだろぉ、ずっと気になってたんだけどよー。今日、ろくに飯食ってなくね」
「っっ。・・・・・・ええと。新八くんに聞いたの?」
「いーや、何も聞いてねーけどー。玄関入ったらあいつが出てきて、これ持ってってくれ、ってケーキ渡されただけだけど」
「・・・・・・」
「なにその顔、あやしいんだけど。ちょ、ー、何で目ぇ逸らしてんの」
「・・・。そんなことないよ、食べたよ?」

食べたよ、台所で。
忙しかったから銀ちゃんたちと一緒には食べられなかったけど、台所でお料理しながら食べたもん。

「ちゃんと栄養摂ってるよ。ビタミンCをね、たっぷり摂ったよ!銀ちゃんのお誕生日ケーキ作ったときに余ったいちごを」
「いやそれビタミンCしか摂れてねーけど」
「いちご以外にも食べたよ、ごはんとわかめとおとうふのお味噌汁とおひたしと納豆と」
「うん、それ今朝の朝飯な」
「だ、だからこれから食べるんだってば、ケーキを!」
「っだよやっぱ食ってねーじゃん。・・・ほら貸してみ、それ」

言うが早いが手が動いて、あたしからフォークを取り上げた。 フォークの行方をなんとなく目で追いかけてたら、銀ちゃんがこっちへ身体を向ける。腕を伸ばしながら迫ってきて、

「ほい、こっち来て」
「――え、な、・・・ぅわ、銀ちゃんやだっ、お酒くさいっ」
「まぁいーじゃん。そのうち慣れるって」
「だめだってば匂いであたしまで酔っ、・・・っ!」

背中に腕を回されて、帯のあたりを軽く押された。
ぐらりと身体が前のめりに倒れて、抱き止めてくれた銀ちゃんの身体でぱっと視界が暗くなる。 ぼふっ、と顔を埋もれさせた硬い胸板から漂ってくるのは、目に染みそうなお酒の匂いと、うっすらと汗ばんだ肌の匂いで――
とくん、と心臓が高く跳ねた。ほっぺたをくっつけた胸元が熱い。このままこうしていたら、こっちの体温まで上がっちゃいそう。

「っっ。ぎ、銀ちゃんっ」
「あー、酒臭せーと嫌なんだっけ。んじゃ、こっちにしとくかぁ」

胸元にもたれてるあたしが目を白黒させてる間に、銀ちゃんは腰のくびれに手を掛けた。
着物越しに感じる長い指の感触にやんわりした力が入って、横からお腹を抱きしめられる。 太腿の裏に滑りこんできたもう片方の腕で持ち上げられて、身体ごと宙に浮き上がって、

「っっっち、ちょっっ」
「し――っ。声、声、神楽が目ぇ覚ますだろ」
「なっ、だって、〜〜っ」

ぅわわわ、ってあわててる間に、畳に胡座を掻いた銀ちゃんの脚に下ろされる。 背中から抱きしめるみたいにしてあたしを包み込んだ体温は、お酒のせいでいつもよりも高い。顔を赤くして困っていたら、

「あー、皿上げすぎ。もっと下げて」
「〜〜〜っ!」

耳のすぐ横で、濃いお酒の匂いがする息を吐かれた。その熱に撫でられた耳たぶやうなじがぞくっとする。 びくんと身体が震え上がったら、「んぁ、どしたー」って斜め横から覗き込まれた。
うっすら赤い眠そうな半目が、頬をぽーっと染めたあたしをしげしげと眺める。遠慮なくじっくり眺めた後で、気だるげな顔がかすかに口端を吊り上げた。 お腹を抱いてた大きな手が、びっくりしたせいで頭の上まで持ち上げてしまったケーキのお皿に伸びてくる。
銀ちゃんはあたしの手ごとお皿を掴んで下ろして、――急に抱きつかれたせいだ。いちごを上にしてちょこんと立ってたはずのケーキは、ぽてっとお皿に倒れてた。 まっしろなクリームを纏ったふわふわのスポンジを、フォークでさっくり切り分ける。生クリームが多めな一口ぶんを刺すと、あたしの目の前まで持ってきて、
ちょん。
とろんと緩んだクリームを、唇にくっつけられる。冷たいやわらかさが肌に触れて、えっ、って見つめ返したら、

「はいちゃん、今日一日お疲れさーん。あーん、」
「ちょ、ぎんっ、〜〜っふ、むっっ」

視界に飛び込んできたフォークごと、ぱくっと咥えさせられる。
クリームの甘さが口中に広がる。薄くスライスして間に挟んだいちごの香りも、甘酸っぱさも。 急に入れられて息が詰まった口の中から、フォークの硬い感触だけがゆっくり丁寧に引き抜かれた。
「な?どーよ、うめーだろ」
フォークに残った生クリームをぺろりと美味しそうに舐めながら、銀ちゃんは自分が作ったような顔して自慢してくる。 ・・・それはまあ、美味しいけど。・・・ていうかこれ作ったのあたしなんだけど。って、そうじゃなくて、

「〜〜ちょっ。ぎ、銀ちゃんっ、やめてっ」
「へ、何で」
「神楽ちゃんの前で恥ずかしいことしないでっっ」

これだけ近くで騒いでもすやすや熟睡してる神楽ちゃんには、あたしたちの声なんて聞こえないはず。
・・・・・・でも。だからって。ないない、ないから。思春期真っ只中な女の子の、こんなに近くで!
なのに銀ちゃんたら瞼が半分降りた眠そうな目を「何言ってんのこの子」ってかんじに細めて、心底不思議そうに首を傾げて、

「・・・?いまだにこーいうの恥ずかしがるよなぁお前ぇ」
「やめて、その珍しい生き物見つけちゃったよみたいな顔っ。あたしはふつうなの、こんな時でもすっとぼけてる図々しい銀ちゃんがおかしいのっ」
「神楽寝てんじゃん、見てねーじゃん。知ってんだろぉ、こいつ一度寝たら朝まで起きねーから平気だって」

どうってことねーだろ、って顔してそう言いながら、銀ちゃんがあたしの膝上にお皿を置く。
フォークを持った右手をたちまちに顎に添えられて、くい、と横を向かされた。 斜めに上向かされた顔に迫ってくる影を感じたときには、熱いやわらかさで唇を塞がれていて。 ふに、って唇を押されて、驚いてわずかに開いたそこから、唇の感触より熱いものが滑りこんでくる。 嗅いだ瞬間にくらりとめまいがする、きついお酒の味。それと、ほんのりバニラが香るとろりとした甘さと――

「〜〜っっ・・・!んぅっ、ふ・・・・・・っ」

眠る神楽ちゃんは目の前だ。あわてて腰をもぞもぞずらして逃げようとしたら、その腰を片手だけでがっちり抱かれてしまった。

「っっぎ、ん、んんっ」
「・・・ん。いちご味。うめー」

あたしの舌に二つの味を絡ませるみたいにして、銀ちゃんの舌で撫でられる。 ざらついて濡れた粘膜は、お酒のせいで体温が上がった身体よりもずっと熱い。 口の中のやわらかさを味わうみたいに動き回るその熱を感じているうちに、銀ちゃんの熱があたしにも伝わってくる。 頭の芯がぼーっと痺れて、まともに何かを考えられないくらいに身体中が火照ってきた。
ふぁ・・・、って掠れた吐息をこぼしながら涙目で見上げたら、――驚きすぎて目すら閉じられずにいるあたしを、ずっと眺めてたんだろう。 こっちを見てた銀ちゃんが、にいっと満足そうに目尻を細めた。ゆっくり舌を引き抜かれて、ちゅ、って音を立てて唇を解放されて――


「・・・・・・な。だからー、こーいうことしてもぜーんぜん平気」

頭の中を真っ白にしてぽかんとしてたら、あまりのふてぶてしさに絶句するようなことを言われてしまった。
冗談じゃない。平気じゃないよ。こんなことされたらどきどきしすぎる。身体に悪いよ。 もしもここで神楽ちゃんが目を覚ましたら、間違いなくあたしは頭がぱーんって破裂するのに・・・!
なのに銀ちゃんは真っ赤になってそわそわしてるあたしを横から覗き込んで、気の抜けた顔でははっ、と笑うだけ。 柵みたいにあたしを囲ってる両腕を押しても引いても、見た目以上にがっしり硬い二の腕はびくともしない。 へらへら笑う酔っ払いの手から、ケーキの欠片は次々と口の中に押し込まれる。 舌の上でとろける甘さを、あたしは仕方なく黙々と飲み込む。 眠る神楽ちゃんの気配にそわそわしながら、ほっぺたを真っ赤にしながら、仕方なくもぐもぐ、もぐもぐ。
・・・・・・だってこれを完食しない限り終わらないし、この羞恥ぷれいな二人羽織り状態。
急いで黙々と食べたおかげで、お皿の上に残されたケーキはじきに最後のひとかけらのみになった。

「最後ひとくちな。ほい、あーん」
「あーんとか言うなっっ」
「っだよぉ、そこまで嫌がるこたーねーだろぉ」
「〜〜ち、違っ・・・、嫌じゃ。ない。けど、・・・・・・っ」

――嫌じゃないよ。こうしてるのが恥ずかしすぎて、どうしたらいいか判らなくて困ってるんだよ。
ほっぺたがくっつきそうなくらいに近い銀ちゃんの顔を横目に眺めて、視線が合う前にあわてて逸らす。 耳元で注がれる銀ちゃんの声は、お酒のせいで色っぽく掠れていて。顔が赤らむほど酔っているせいか声音は甘くて、口調も語尾もぼんやりしてる。 そんな声だけでも頭の中が火照ってくるのに、後ろからしっかり抱えられてて。 腕の中で恥ずかしい思いをしながら食べさせてもらうケーキは、甘くて軽くて、舌に触れる先から融けて消えていくくらいにふわふわで。 神楽ちゃんが起きたらどうしよう、って気にしてるあたしを、もっとふわふわした落ち着かない気分にさせるから――


「ぅうううう・・・・・・なんなの、もう。銀ちゃんのばかぁぁ・・・」
「あのよーいい加減慣れてくんね。もぉ半年経ってんだからよー」
「銀ちゃんが悪いんじゃん。いつまで経っても所構わずこーいうことするからっ」
「別にいーだろぉ、普通じゃねーの。新婚家庭のダンナが嫁さんに構いたがるなんざ、どこの家でもあることだろぉ。 つーか見てたら触りたくなんだろぉー、反応がいちいち新鮮っつーかいくつになってもかわいいから、うちの奥さん」
「・・・っ」

まだ聞き慣れない呼び方に、胸の奥がとくとく弾み出す。呼び方ひとつで何も言い返せなくなって、あたしはお皿を持つ銀ちゃんの手まで視線を落とした。
他の人にそう呼ばれることには慣れてきたのに、――どうしてだろう。
銀ちゃんの声でささやかれるその言葉は、いつもなぜか特別で甘い。銀ちゃんに名前を呼ばれた時に感じるような、頭の中まで熱くするような響きで耳に残る。 呼ばれるたびに身体中をやわらかく締めつけられるみたいな錯覚が起きて、すごくどきどきさせられるから困ってしまう。 急にあたしが大人しくなってほっぺたを赤くしてうつむいてるから、目ざとい銀ちゃんは勘付いたみたいだ。
こーいうとこも変わんねーなぁ。
そう言って、やわらかく緩んだ目元をさらに緩めて苦笑するけど、・・・そんなのお互いさまだと思う。
そう言うあたしの旦那さんだって、いくつになっても変わらない。
だらしなくていい加減なところも。口は悪いけど優しいところも。 あたしの名字が変わって銀ちゃんたちと一緒に暮らすようになってからも、こうやって新八くんたちの目を盗んでは甘やかしてくれるところも。
何も変わらないよ。――半年前の、あの日から。

(万事屋さんちの、お嫁さん。)
そんなふうに呼ばれるようになったのは、江戸にさくらの花が咲き乱れて、街中が薄紅色に染まっていた今年の春。
変なところで気が小さい銀ちゃんがしどろもどろにプロポーズらしきことを口にしてくれたおかげで、あたしは「さん」から「坂田さん」になった。 みんなに「万事屋さんちのお嫁さん」として迎えてもらって、銀ちゃんたちと一緒に住むようになった。
それからさらに半年経って、新婚さん、なんて呼ばれる甘い季節は、そろそろ終わりに近づく頃じゃないかと思ってた。
だけど――銀ちゃんの構いたがり病はあいかわらずだ。というより、一緒に暮らすようになってからむしろ悪化してる気がする。 特に昨日、あたしが近所の病院で診察を受けてからというものは、病状がいっそう進行してしまった。 そんな銀ちゃんを砂を吐きそうな顔して眺めてる新八くんや神楽ちゃんの目も、呆れるくらい図太い銀ちゃんには、 人目を気にしない自分の行動を改めるきっかけにはならないみたいで。

「・・・でも、だからってこれはないよ。浮かれすぎだよっ」
「ぇえー。そりゃーしょーがねーだろぉ、浮かれもするんじゃねーの」

心外そうに口を尖らせると、銀ちゃんはあたしを乗せたまま、よっ、と軽く腰を浮かせた。 お尻で畳をずずっと擦って窓際まで下がって、背中を壁にもたれさせる。窓が近くなったせいで、湿った夜風を甘い匂いに染めた秋の花の香りが強くなった。

ざわざわざわ。がやがやがや。
通り沿いの物音や車の音、どこかのお店から流れてくる音楽に紛れて、階下から声が流れ込んでくる。
桂さんや長谷川さん、お登勢さんやお妙さん―― 銀ちゃんの大切な人たちのにぎやかで和やかな声の響きが、くっきりと鮮やかに耳に届く。 その声に耳を澄ますような表情で瞼を伏せた銀ちゃんは、あたしのお腹に手を置いた。
感触を確かめるみたいに、着物の上からそうっと手のひらを滑らせて。


「――そりゃあ浮かれもするって。だって銀さん、今日すげぇ幸せだし」


夢見心地な独り言みたいな声が、小さく淡くつぶやいた。
お皿を置いてお腹に伸びてきたもう片方の手が、帯の上から触れてくる。 顔を寄せてきた銀ちゃんのぼんやりした視線は、自分の手とあたしのお腹に注がれてる。 何か祈りでも籠めるみたいに、円を描きながらゆっくりと撫で回す長い指。 いつになく慎重でぞんざいさが抜けたその手つきに、あたしも黙って手のひらを重ねた。
よく見ると傷跡だらけな節の太い指を、思いを籠めてきゅっと握る。 自然と笑顔になりながら、どこかぎこちない動きで絡まってくる長い指をそうっと撫でた。

「・・・・・・よかったね。嬉しいね、銀ちゃん」

指を撫でながらそう言えば、ふっ、と苦笑したみたいに銀ちゃんの身体が小さく揺れた。



――こうしているだけで溢れてくる嬉しさを、しあわせを、今は二人で感じてる。

だけどもうじき、もうじきだよ、銀ちゃん。
――長そうに思える10ヶ月だけれど、銀ちゃんが居るこのにぎやかで退屈知らずな場所で過ごせば、あっという間にやってくる。
今日よりももっと、ずっと、しあわせに溢れた素敵な日が。
万事屋のみんなが笑顔で迎える大切な日が。
銀ちゃんに向けて伸ばされるミルクの匂いがするちいさな手が、この長い指をきゅっと握る。 銀ちゃんとあたしが待ちわびている奇跡みたいな瞬間を、この家に連れてきてくれるよ――


「なぁ。どーよ。旨めぇか。めちゃくちゃ旨かっただろ。そらぁそーだわ。世界一うめーからよー、お前の母ちゃんが作ったケーキ」

ずっと黙りこくってた銀ちゃんが、あたしのお腹にいるもう一人にやけに自慢げに語りかける。 嬉しさとばつの悪さが混ざり合ったような表情で笑う横顔が、ふらりとこっちへ倒れてくる。 あたしに体重を預けるみたいにして、ぴとっと肌をくっつけてきた。
・・・これって、甘えられてるのかな。
珍しく素直な子供っぽい態度が嬉しくて、胸の中に生まれた甘酸っぱい気分がふわりと揺れる。 金木犀の香りを孕んだ甘い夜風が、薄暗い室内で白く輝く銀ちゃんの癖っ毛をさわさわと揺らす。 どこか遠くで鳴っている、霞んだ汽笛のようなラーメン屋さんの音が鼓膜を微かに揺らしてる。 カラオケの伴奏と音程が外れた新八くんの歌と野次る声と笑い声が、階下の店の楽しげな空気をがやがやとわいわいと揺らしている。
「・・・・・・んにゅうううぅぅ・・・・・・ずるいネ。わたしもぉぉ・・・・・・」
ふにゃふにゃともごもごと、拗ねた子供みたいなかわいらしい声が布団から上がる。 神楽ちゃんだ。あたしたちの声で目が醒めたのかと思ったら、見れば目は閉じたままで。
――また夢見てるのかな。銀ちゃんとごちそうを取り合ってる夢。
毛布の中からまっしろな両腕をすうっと上げて、何かを欲しがって手を伸ばすような仕草をして。うぅぅ、って悔しそうにピンクのほっぺたを膨らませると、


「・・・ずるいヨ、銀ちゃん、ばっかりいいいぃぃ・・・。ゎたしも、ぁかちゃ・・・、だっこ、したいアルぅ・・・」
「「 ・・・・・・・・・ 」」


無邪気な口調の気が早い寝言に、二人揃ってきょとんと大きく目を見張る。
なんだか無性に嬉しくて、だけど同じくらい可笑しくて。似たようなことを感じていそうなとぼけた瞳と目線を合わせて、たまらなくなってくすくす笑う。 着物の上から大事そうに触れてくれた大きな手が、まだ膨らみ始めてもいないあたしのお腹をゆっくり撫でる。
お皿に残っていた最後のまっしろなひとくちを、銀色のフォークに乗せてみる。
誕生日の主役に合わせて糖分過剰に仕立てたしあわせのかけらは、二人ではんぶんこしてもしあわせさが有り余るくらいに甘かった。



しき糖分中毒者

text *riliri Caramelization
2013/10/07/ → re: 2014/01/05/
「BIRTHDAY 糖 YOU」さま提出物。ありがとうございました !!
?年先の未来銀誕 銀さんにしあわせになってほしいだけのはなし。
銀さんのしあわせ←→万事屋+みんなのしあわせ、みたいな図式が好きです好きすきだいす(ry